ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「熱いコーヒーが飲みたい」

摩耶「唐突だね。」

神姫「飲めばいいじゃない。コーヒーぐらいあるでしょ。」

悠「いや、飲みたいのは缶コーヒーなんだ。」

千世子「自販機にでも買いに行ったらいいのだ。」

悠「でも、寒いじゃん?」

亘理『そとに出られるひとが我儘よくないよねぇ~。』
ズズッ!
スッ…
悠「ひぇっ。妖怪!」

神姫「そうね。妖怪ね。」

悠「それは置いといて、缶コーヒーは優秀だと思うんだよな。」

千世子「コーヒーで優秀ってなんなのだ?」

摩耶「香り、酸味、コク、苦みかな。」

悠「イエア」

神姫「人間の舌は「甘味、酸味、苦味、塩味、旨味」の5種類しか感じることができないけど、鼻は約350種類の香りを感じることができるそうね。」

亘理『ほえー、そうなんだ。』

悠「つまり、香りから判断できる要素は非常に大きく、味わいの大半が嗅覚かにくといっても過言ではないということだ」

摩耶「苦手な物を鼻をつまんで食べたりするもんね。」

悠「おれはアレあんまり効果ないと思うけどな。」

千世子「どうしてなのだ?」

悠「嫌いなものほど鋭敏に感じ取るだろ。だから鼻つまもうが目を閉じようが口に入れたら嫌悪感や異物感は逃れられない……っていう、おれの持論。」

神姫「まぁ、嫌いなものほど余計に感じるっていうのは分かる気がするわ。」

亘理『結局、鼻をつまむのは効果あるの?ないの?』

悠「ある」

亘理『あるの?!』

悠「そうだな。目隠しをしながら鼻をつまんだ状態でジェリービーンズとかたべてみろ。鼻をつまんで香りの情報を封印すると、フレーバーを当てるのは本当に難しい。」

神姫「ふだんはあまり意識しなくて、フワッと広がる香りは味を判断するためにし不可欠。香りがもたらす役割は非常に大きいってことよ。」

亘理『ほうほう、それでコーヒーとどう関係するの?』

悠「いや、コーヒーにとって香りは大事だろうが。」

亘理『私、そんなにコーヒー飲まないしなぁ。』

悠「ちなみに一般に、すっきりした香りを感じることが多いのは中南米産、花や果実を思わせるような香りは東アフリカ産、木や葉っぱなどを思わせるような香りはインドネシア産のコーヒーと言われてる。」
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