ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「ちょっと」

悠「ちよこっと」

千世子「……ちょっと耳に入ったけど魔法の本があるのだ?」

悠「無視されたでござる」

神姫「私だったらぶん殴ってたわ。」

悠「ひぇっ。」

スキュラ「ありますよ。ただ、私の持っているものは海魔用なので限定的なものしか乗っていませんが。」

摩耶「真水を海水に変えれるっていうのは、あれかな乾かないようにするため?」

スキュラ「はい。私みたいな海魔と獣魔の性質を持っているものは平気ですけど、下級の海魔は定期的に水分が必要ですから」

神姫「……真水を海水にするのはともかく、海水を真水に出来るのなら十分にスゴイことじゃないかしら。」

悠「言われてみればものすごいことだ」

亘理『そうなの?』

悠「いや、そうなのって…」

神姫「飲料用等で真水が必要とされる場所の近くに淡水源(河川、湖沼)等がなく、気候等の関係で天水(雨)の利用も難しい場合、もしその場所が海辺であれば、海水を処理して淡水を作りだし、利用することができるってことなのよ。」

亘理『ほ、ほーん』

千世子「あ、わかってない反応なのだ。」

悠「ちなみに、このプロセスを現代用語で海水淡水化と呼ぶ。」

スキュラ「私は真水でも塩水でも飲めますけどね。」

悠「人間には無理だから」

千世子「それで海水を真水に変える魔法はあるのだ?」

スキュラ「ありますよ。パターンは同じですから」

悠「おれでもできる?」

スキュラ「…………恐らく」

摩耶「間があったね。」

千世子「なにか問題があるのだ?」

スキュラ「問題というか、そもそも海魔用の魔術書なので人間が使っているところは見たことないのですよ。」

悠「つまり?」

スキュラ「唱えれば使える口頭魔術ですが、副作用があるかもしれないということです。」

摩耶「かもしれないだから、副作用がない、可能性もあるんだよね。」

スキュラ「はい、その場合は普通に魔術を使えます。」

悠「んー……なんかSAN値が減りそうな話だな」

神姫「悠なら平気じゃない?狂ってるようなもんだし」

悠「狂ってないよ!!」

亘理『ちなみにサタンちゃんは魔法使えるの?』

サタン「あんまり使ったことはないのだ。けど、隕石を降らせたりはできるのだ。」

悠「メテオかよ」
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