ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ああ、寒い寒いよぉ。」

サタン「ん?リボン(地獄)の亡者がいるのだ?」

摩耶「似たようなものかな」

神姫「生のハバネロでも齧ってれば暑くなるわよ」

悠「それ、違った震えが起こるから」

【サードオニクス】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。サードオニクス(サードニクス)は、アゲート(瑪瑙/めのう)の一種で、日本名を紅縞瑪瑙というのだ。その名の通り、赤い色と白い色が縞模様を描く、柔らかな色合いの半透明の宝石なのだ。」

サタン「我が暖めてやるのだ。」

悠「炎禁止な」

サタン「……はあぁぁっ。」
ゴォンゴォン
悠「うわ、なんか身体が、暑くなってきた!」

摩耶「何してるの?」

サタン「血液を沸騰させてるのだ」

千世子「サードオニクスは「サード]と「オニクス]の二つの言葉を合わせたもので、オニクスは、「瑪瑙」の中でも、縞模様が直線状になっているものを示し、サードは赤褐色を帯びたものの意味なのだ。つまり、紅い縞のある瑪瑙ということなのだ。」

悠「止めろバカ!死んじゃうだろ!」

神姫「ふふっ…」

亘理『神姫さんがウケてる』

神姫「今のすごくよかったわ」

悠「おれは危うく死にかけたけどな」

千世子「この石は、ペリドットが有名になるまでは、8月の誕生石としてポピュラーなものだったのだ。他の月を象徴とする各種の宝石に比べて地味な印象だったため、8月生まれの人を少し落胆させたりした存在でもあったのだ。しかしサードオニクスには「夫婦和合」という、とても優しいパワーがあり、恋人への贈り物などにはとても向いている宝石と言えるものなのだ。そして実は、この石の美しさを引きだす方法は、指輪や腕輪などの装身具として身に着けるためだけではないのだ。」

悠「サードオニクスは価格もそれなりで手に入れやすいしな。」

亘理『買ってよ。』

悠「……お菓子やるよ」
スッ
亘理『わーい、おはぎだー!』

サタン「今どっから出したのだ?」

千世子「サードオニクスをはじめとして、瑪瑙の仲間の宝石は比較的に柔らかく(サードオニクスのモース硬度は7)、金属や鉱物性の工具を使って加工することは比較的に簡単なのだ。そのためローマ時代から、印章などの装飾的な意味合いを持つ高級な実用品や、様々な彫刻、あるいは美しい女神像や神々の姿などを繊細に浮き彫りしたカメオの素材として用いられてきたのだ。」

悠「ポケットのなかにはおはぎがひとつ。反対側を探ればお饅頭もひとつ。」
スッ
サタン「あむっ、うん、おいしいのだ!」

神姫「ツッコまないわよ」

悠「神姫も如何かな?おかきやアラレももあるぞ。」
どさっ

摩耶「和菓子の妖怪かな?」

千世子「現在でも貝殻を素材としたシェルカメオと並んで、サードオニクス等の素材を用いたストーンカメオは、アクセサリーの定番として人気があるのだ。また、キリスト教の世界では、新約聖書の「ヨハネの黙示録」の中に、髪の国である新たなエルサレムの土台を飾る12種類の宝石の第5番目に挙げられている、大切な宝石のひとつとなっているのだ。以上、サードオニクスのじゅぎょーだったのだ。」
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