ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/11/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

千世子「あんちん、あんちん」

悠「あー?」

千世子「あんちんはお菓子とか作るのじょーずだよね?」

悠「人並みにな」

千世子「千世子、おっきいシュークリームが食べたいのだ」

摩耶「僕はどら焼」

花描「じゃあ、リンゴのミルフィーユ」

神姫「抹茶餅」

悠「うん、見事にバラバラだな。店で買え!」

千世子「あんちんのケチー。もう、じゅぎょーに入るのだ。」

【十字架】
魔法の数だけバリエーションがあります。

悠「ケチとはなんだケチとは…」

摩耶「子供のいうことに目くじらを立てない、立てるない」

千世子「キリスト教において最もポピュラーなアイテムが「十字架」なのだ。十字架はキリストの処刑に使われたことで、人の罪やキリストの尊さを象徴する重要な意味を持つようになったのだ。」

花描「ピエロくんは十字架に触れたら焼けたりするのか?」

悠「わしゃ、悪魔かなんかかい」

千世子「日常でもっともよく見かけるキリスト教の十字架は、正確にはペトロ十字を含めさまざまな種類が存在するのだ。すべての十字架が何らかの形で神聖な意味を持っているのだ」

摩耶「悪魔といえば、柏さんは悪魔って呼ばれてるのに身に付けてるアクセとか十字架だよね」

悠「あのボケナスが持ってるのは全部アンチクロス(逆十字)だよ。Zippoのレリーフまでアンチクロスだからな…」

千世子「数ある十字架のデザインのひとつに「アンク」と呼ばれる十字架があるのだ。普通のラテン十字、またはTの字の上に円を組み合わせたようなデザインで、雌(♀)マークに似てるのだ。」

悠「魔法カード死者蘇生アレな」

千世子「これは、コンピュータRPGの元祖である「ウルティマ」シリーズや、1990年前後に大ヒットした「ポピュラス」にほぼ同等のものが登場していたため、知ってる人は多いかも知れないのだ。」

悠「なつかしい」

神姫「ゲーム関係には反応するわね」

千世子「アンクは別名「ナイルの鍵」とも呼ばれ、エジプトでは命の豊かさを表すシンボルだったというのだ。ツタンカーメン王の名前(Tut-ankh-amen)にも、このアンク(ankh)が含まれているのだ。」

花描「エジプトはこの手のマーク多いよな。」

悠「エジプト十字は完全にTだけどな」

千世子「アンクはキリスト教のラテン十字の起源にもなっているため、ゲームの世界だけでなく、歴史上ももっとも重要な十字架のひとつといえるのだ。なお、さっきあんちんがいったエジプト十字架と、実はアンクとはまったく違う形をしたタウ十字架もTの形だから、混同しないように注意する必要があるのだ」

摩耶「タウ十字架?」

悠「エラリー・クイーンの推理小説「エジプト十字架の謎」に登場するんだ。魔法とは直接関係ない。」

千世子「以上、十字架のじゅぎょーだったのだ。」
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