ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「チーズかまぼこぉー」

亘理『……え?』

悠「チーズかまぼこだよ。食べたくない?」

亘理『えっと、今は別に…』

悠「そっか。残念だ。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ロマンチックなイメージの強いルビーですが、宝石として以外にも、様々な形で人々の役に立っていることをご存知なのだ?」

悠「はい、ゴローさん」

摩耶「ゴローさんじゃないよね。」

亘理『ところで何でチーズかまぼこ?』

悠「そこのコンビニで買ってきた」

摩耶「つまりは衝動買いだね」

千世子「例えば、高級な自動巻き時計などには多くのルビーが使われているのだ。とはいっても、文字盤の周囲を飾ったりしているだけではないのだ。ルビーはとても硬く、摩擦に強いという性質を持っているのだ。そのため、時計などの精密機械の軸受けなどには、ルビーを加工した部品を使っているものが多いのだ。」

悠「そだよ。」

神姫「少しは無駄遣い控えたらどう?」

悠「無駄遣いじゃないよ。小腹がすいたから買った。つまりは大事な栄養補給」

神姫「ふーん」

悠「もうちょっと相手してほしいでござる。あ、チーカマ食べるぅ?」

千世子「最近はデジタル表示の電子的な時計が多く使われていますが、かつて機械的な時計が主流だった時代には、ルビーを何か所に使用しているかが高級品の証であり、今でも機械式時計には、「21石使用」などの表示がされるのだ。」

神姫「いらない」

摩耶「僕は食べるぅ」

悠「はい、どうぞ」

摩耶「なんかこういうの食べるの久しぶり」

悠「まぁ、毎日食べるもんではないわな。」

千世子「現在では安価な合成ルビーが主に使用されていますが、古くは天然石が使用されており、石数の多い、より複雑な機能を持った時計を所持することは、それ自体がステータスだったのだ。また最近では、レーザー光線を発声させる媒質としての使用も、比較的身近に見かけられるようになったのだ。」

神姫「毎日食べてたら気持ち悪いわよ」

悠「でも、酒のあてにって人はいるかもしれない」

摩耶「一日チーカマ一本でビールも一本」

悠「省エネだな」

亘理『省エネ?!』

千世子「赤色の光線となるルビーレーザーの波長は、日焼けをした時などに皮膚を褐色にする「メラニン色素」に吸収されやすく、やはりメラニン色素で出来たあざやシミやほくろなどを焼いて消去するための医療、美容用に使われるのだ。ちなみに、レーザーポインターなどに使われる赤色レーザーの多くは、半導体レーザーと呼ばれるもので、ルビーレーザーとは別のシステムで発生させるものなのだ。」

悠「ルビーレーザーって技っぽいな」

摩耶「宝玉獣かな?」

悠「それ聞くと弱く感じる不思議」

摩耶「レインボードラゴンだっているのに」

悠「……やっぱり強く無くない?」

千世子「価格の高い宝石を人工的に作り出す技術は、大昔から研究されてきましたが、実際に天然石と同様の合成宝石ができるようになったのは、19世紀から20世紀にかけてのことになるのだ。1877年、フランスとのエドモンド・フレミーは、最初はエメラルドで、次にルビーで、宝石質の合成に成功するのだ。彼の用いた「フラックス溶融法」は、るつぼの中に原料を入れ、何カ月も高温を保った後に、ゆっくりと冷却していくという手法だったのだ。」

神姫「まぁ、強くはないわね。」

悠「いちおう一時は初のホロレアで一万円近い値段で売れたんだけどな」

亘理『うひゃー』

悠「今だと数百円」

亘理『かなしい…』

千世子「宝石に匹敵するような合成ルビーは、1891年にフランスのオーギュスト・ベルヌイガ、「火炎溶融法」を開発、以降は宝飾用や工業利用に、安価な合成ルビーを供給できるようになったのだ。以上、ルビーのじゅぎょーだったのだ。」
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