ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なんかグズグズした天気だよな」

摩耶「三日連続でね」

悠「じわじわと寒くなってきてるのもいやだし……嫌だし!」

亘理『魂のシャウト』

摩耶「悠君の魂は安売りセールだけどね。」

【ムーンストーン】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ムーンストーンは、その名前が示すとおり「月の石」なのだ。光の屈折や干渉作用によって淡い青色や真珠のような閃光を放ち、月の光に見えることから、この名前がついたとされるのだ。また、この光の干渉作用で現れるムーンストーン特有の光彩効果は「シラー」と言われ、青いシラー効果を持つものを「ブルームーンストーン」、「ロイヤルブルームーン」、「アデュラリアンブルームーンストーン」、七色の光を放つものを「ムーンストーンレインボー」、青色の光が混ざると「ロイヤルブルームーンレインボー」と呼ばれるのだ。」

悠「ロイヤルベールがない」

神姫「それはプリンセスの技でしょ」

悠「ロイヤルミルクティー」

亘理『おいしそう』

悠「ロイヤル……えーと、ロイヤル…」

摩耶「ロイヤル切れ早かったね。」

千世子「これはギリシャ語で月の意味のセレネ(Selene)に由来しているのだ。古来よりこの石には月の光が封印されていると考えられ、プリニウスの博物誌では「この石は月の満ち欠けにしたがって、形も大きくなったり小さくなったりする」と書かれているのだ。古代インドでは「聖なる石」として崇拝されて、農夫たちは農作を願い農機具にぶら下げたというのだ。」

悠「バトルロワイヤルなら出てきたんだが」

神姫「ロイヤルでもないわね。」

摩耶「ロイヤルストレートフラッシュとかあるのに」

サタン「ロイヤルコペンハーゲン」

悠「なんでそんなの知ってる」

千世子「世界各地で幸福の石とされ、中世ヨーロッパでは恋人への最高の贈り物と言われたのだ。恋人同士の愛を豊かにしたり、お目当ての異性に送ると友情が愛情に変わって恋が芽生えたり、別れた恋人同士を結び付けるという伝承もあるのだ。また、月の光の作用により離れた場所にいる人をも結びつけるという暗示があり、遠距離恋愛の守護石としても用いられるのだ。」

亘理『ムーンストーン探さなきゃ!』

悠「ピクシーにでも進化するのか?」

摩耶「プクリンかもしれない」

神姫「月の石で進化できなさそうだけど」

亘理『私はポケモンじゃなーい!』

千世子「この石のパワーが最大になるのはやはり満月の夜。古代インドや中世フランスでは、満月の夜に石を口に含んで未来を占ったり、願い事をすると叶うとされ、その伝承は今でも息づいてるのだ。」

悠「どっちかっていうと妖怪だけからバケモンだよな」

亘理『その言い方はそれで腹立つんだけど』

悠「本当に申し訳ない」

摩耶「メタルマンのキチ博士かな?」

悠「あんなキチガイではないといっておくがな。」

千世子「ムーンストーンの優しい光は人の心を癒し、緊張を解き放つ効果があり、枕の下に置いて寝ることで安眠が約束されるとも伝えられるのだ。感情のイライラや人間嫌い、プライドが高すぎるといった傾向も和らげて、人間関係がスムーズになる効果もあることから、現代人にはぴったりのパワーストーンかもしれないのだ。以上、ムーンストーンのじゅぎょーだったのだ。」
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