ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ミノムシと亘理って似てるよな」

亘理『はぃ?』

悠「いや、なんかぶら下がってるところが」

亘理『全然違うよ!私、蓑をまとってないし!』

悠「用意しようか?」

亘理『しなくていいです!』

千世子「はい、じゅぎょーするのだ。中国でも真珠の歴史はとても古く、「珍珠」と書いて薬として使う習慣も長い歴史を誇っているのだ。その昔、蓬莱山に住む麻姑という神仙がいたのだ。彼女はいつまでも若く美しく、憧れを一身に受けていたのだ。それもそのはず、彼女は不老長寿の神様で歳を取ることがなかったのだ。彼女のトレードマークは真珠だったのだ。」

摩耶「ミノムシの中身ってイモムシだよね。」

悠「そうだな。最終的には蛾になるが。」

亘理『私は蛾にならないよ』

悠「天井になるんだろ。」

亘理『どういうこと?!』

千世子「ある日、海に浮かぶ蓬莱山から人里にきてもてなしを受け、帰り際に農民からもらった一握りの米粒を地上に向かって撒いたのだ。すると、たちまち米粒が真珠の粒に変わるので農民たちは大喜びしたということなのだ。」

摩耶「天井が本体のパターンかな」

サタン「それ逆に弱点とか増えてる気がするのだ。」

悠「長い棒で突けば確実に当たるもんな」

神姫「釣り天井みたいに落ちてきて潰してくるんじゃないの?」

悠「それはエグいな。」

千世子「苦しみの中で生み出されると言われる真珠は、貝の内部に砂利などの異物が入ると、それを生体が防御するために粘液などを出して固めることができるのだ。この生成過程が、そのまま真珠の力を象徴しているのだ。つまり、「痛みからの保護」や「困難の克服」なのだ。その持ち主の苦痛や苦しみを和らげ、プレッシャーや悪霊から保護してくれるとされ、昔から船乗りや漁師などは、海難事故を避けるお守りとして重宝してきたのだ。」

亘理『そんなことやらないし、そもそもできないし!』

悠「で、蓑いる?」

亘理『いらないっていってるでしょ!どうしろっていうの!』

悠「えーと…いや、別に」

摩耶「これが特に何も考えていないかった結果である。」

神姫「いつものことでしょ」

千世子「また、ストーンヒーリングの分野では、古くから世界各地の民族医学で薬として用いられることも多く、チベット医学では薬になる三大宝石のひとつとされて、西洋では粉末をハチミツやワインなどと一緒に用いて様々な治療に使われたのだ。パールの粉にレモンを加えたものが消化不良によく効くともいわれるのだ。パール自体は高カルシウム、高ミネラルの物質なので、薬になるという説にも納得がいくのだ。ほとんどの伝承で、胃潰瘍、血液病、鎮静作用、精神の安定という効果が伝えられ、他にも、美と健康の薬とされたり、出産時の苦しみを和らげてくれる効果もあるとされるのだ。これらすべての真珠の効果はやはり、真珠が生み出される過程によるところが大きいのだ。以上、真珠のじゅぎょーだったのだ。」
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