ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

サタン「魔界からの贈り物が来たのだ。」
ズンッ

悠「なにこれデカい卵?」

サタン「フェニックスの卵なのだ。」

摩耶「孵化させるの?」

サタン「食べるのだ。」

【翡翠】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。英語での名称「ジェイド」の語源は古いスペイン語で「腰の石」の意味に由来しているのだ。日本名である「ヒスイ」は鳥のカワセミの腹の色と内側の羽の色の組み合わせに似ていることに由来するとされるのだ。」

悠「不死鳥の卵って食っていいもんなの?」

サタン「ものすごく濃厚で美味しいのだ。」

摩耶「ダチョウの卵より大きいんだけど。」

亘理『食べるとしても何人分、これ』

悠「厚焼き玉子が何十本できるやら」

千世子「翡翠の色は白色のものが多く、半透明でガラス光沢があるのだ。また、クロム分の含有によって緑色のものや、チタンの混入による青紫色、鉄分を多く含んだ暗緑色、その他にも黄色、青色や黒色、紺色など様々な色があるのだ。とても強靭で、砕こうとすると銀槌が欠けてしまうほどなのだ。」

サタン「フェニックスの卵は近づくだけでもものすごい回復効果があるから、今だったら手足が捥げてもすぐにくっつくのだ。」

神姫「へぇ。悠、もいでみる?」

悠「手軽にひとの手足を捥ごうとするのはサイコパス発言以外の何物でもないぞ?」

神姫「ふぅん」

悠「今の、ふぅんの言い方がエロい」

千世子「翡翠と呼ばれるものには2種類があるのだ。硬度の柔らかい軟玉(ネフライト)と呼び、より硬い物を硬玉(ジェダイト)いうのだ。軟玉の方が安価で生産量も多く、古来中国では様々な加工品を作っていました。硬玉は俗に「本翡翠」と呼ばれ、日本ではこちらが中心なのだ。中国でも、現在はミャンマー産の硬玉が中心となっているのだ。日本と中国、東南アジアでは人気のある翡翠の色が違うのだ。日本では色の濃い方が好まれて効果であり、中国や東南アジアでは色の薄い方が良いとされているのだ。」

摩耶「本気で捥がれるよ。本体を」

悠「らめぇっ!」

神姫「気持ち悪い&汚いから触るわけないでしょ。やるとしたら蹴り潰すわよ」

悠「やだ、12歳の美少女になっちゃう」

亘理『どうしてそうなった…』

千世子「翡翠は、古来よりいろいろな民族が「魔法の石」として崇めてきた鉱物でもあるのだ。日本での歴史も古く、縄文時代の遺跡からも多くの翡翠の勾玉が発見されているのだ。これは身を守る護符として使われたと言われているのだ。現在の日本で高品質なのはは、出雲大社の宝物殿にある勾玉なのだ。中国では五徳(仁・義・礼・智・勇)を高めるとされ、台湾の故宮博物館には、かの清の西太后が自ら権力の象徴として作らせた白菜の彫刻が残されているのだ。」

悠「で、この卵は常温で放置しといて平気なのか?」

サタン「野ざらしに放置しといても200年は平気なのだ。自分で回復し続けるのだ。」

摩耶「200年たったらどうなるの?」

サタン「孵化するのだ」

悠「時間かかるなぁ。」

千世子「翡翠は洋の東西を問わず、古来より強力な護符や魔除けとされてきたのだ。西洋の伝説では海神のシンボルであり、オリエント世界では今生と来世のあらゆる願いを満たす石として金やダイヤより重んじられたこともあったのだ。以上、翡翠のじゅぎょーだったのだ。」
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