ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/9/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

摩耶「校庭に桜の花びらがたまってるね」

悠「いっかい掃除した方がいいかもな」

花描「頑張れピエロくん。」

悠「おれぇ?」

神姫「暇なんだからそのくらいしなさいよ」

悠「けっこう急がしいんよ?」

千世子「今日は掃除といえば定番アイテムのじゅぎょーなのだ!」

【ほうき】
魔女の定番アイテム…ではなかった?

悠「おれは竹箒派だな」

千世子「ほうきは、魔女が乗るものなのだ。」

悠「サリーちゃんに、メグちゃんに、キキ…」

摩耶「まじょっ娘だね」

千世子「掃除道具の代表であるほうきは、昔から女性のシンボルだったのだ。そこから中世以降は、次第に「ウィッチ(魔女)のアイテム」へと結び付いていったいったようなのだ。」

花描「魔理沙もほうきに乗ってるしな」

摩耶「男ならハリポタもそうだよね。」

千世子「実は歴史的に見ていくと、ウィッチの乗り物は必ずしもほうきとは限らなかったのだ。クマデやシャベル、物干し竿といった棒状のものであれば何でもよかったのだ。」

悠「魔女の宅急便のキキもほうきのかわりにデッキブラシで飛んでたしな。」

千世子「それどころか、ヤギやブダなどの動物にまたがって飛んだり、まったく道具を使わずに空を飛べるウィッチまでいたらしいのだ。」

悠「おれは…猫に乗って空を翔びたいなぁ」

花描「猫に乗られる側なのんじゃないか?」

悠「……」

千世子「現実の歴史に登場するウィッチたちは、結局ほうきがあってもなくても空を飛べたのだ」

花描「巫女も飛ぶしな」

千世子「ほうきは、特別な魔法のアイテムではなかったのだ。ウィッチたちは「魔法の軟膏」という薬を使うことで、空を飛んだといわれているのだ。一説によると、この軟膏を内股やほうきに塗ることで飛行能力を得るというのだ。空を飛ぶ魔力を秘めていたのは、ほうきではなく軟膏だったのだ」

悠「飛行能力か」

花描「ピエロくんはさしずめ、非行能力だな」

摩耶「上手い。」

悠「やかぁーしいわ!」

千世子「もうひとつ別の説もあるのだ。ウィッチが「魔女の軟膏」を使うところは同じだけど「彼女らは実際には空を飛んでいなかった」という説であるのだ。ウィッチたちは特殊な軟膏の麻薬的な作用によってトランス状態に陥り、空を飛んでいる幻覚を見ているにすぎないというのだ。」

悠「それはかなりディープな話だな。」

神姫「文字道理ぶっ飛んでるわね」

悠「え?」

神姫「忘れて」

千世子「以上、ほうきのじゅぎょーだったのだ。」
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