ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/7/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「願いを叶えてくれるならなんて願う?」

摩耶「誰かの幸せを願おう!」

悠「なら、おれはそんな摩耶の幸せをねがうぞ!」

神姫「なにこの寸劇」

花描「うーん、愛かな?」

神姫「意味不明」

千世子「お願いを叶える……あ、ならこのじゅぎょーなのだ」

【ランプ】
ソロモン王が閉じ込めたランプの精

悠「アラビアンナイトか」

千世子「そう。魔法のランプといえば、アラビアンナイトに登場するものが何よりも有名なのだ。」

摩耶「アラジンだよね。」

神姫「キングダムハーツが浮かぶのは私だけかしら。」

悠「おれもだ」

千世子「アラジンが魔法使いに誘われてランプを手に入れるところから始まり、ランプをこするとジン(精霊)がでてくるのだ。実はアラビアンナイトでは「アラジンと魔法のランプ」以外のエピソードでも「何かに閉じ込められたジン」がいくつか登場するのだ。これらのジンの多くは、古代イスラエルのソロモン王によって、ランプや壺などに閉じ込められたのだ。」

花描「ソロモンは、レメゲトンとか一連の魔術書郡で召喚魔法がクローズアップされてるな」

千世子「けど、実は異世界の精霊は悪魔を召喚するだけじゃなく、目の前にあらわれた魔物を簡単に封じ込めることもできたのだ。なぜなら、ソロモンは、ジンを封印できる魔法の指輪を持っていたからなのだ。」

神姫「「ソロモンの魔法の指輪」ね。旧約聖書に登場する「魔法の指輪」が有名よね」

悠「「動物や植物などの言葉が理解できるようになり、彼らとの会話が可能になる魔法の指輪」のことか、たしかあの指輪が魔物を封じ込める能力も持ち合わせてたんだよな。」

千世子「アラビアンナイトに登場するランプは、どちらかといえばランプ自体が不思議な魔力を秘めているわけではなく、ただの入れ物に過ぎないようのだ。」

花描「つまり、魔力を秘めているのはランプではなく指輪なんだな」

千世子「世界的に見ていくと、ランプまたはそれに類するものが魔力を発揮する話しは数多いのだ。ラブクラフト作の「クトゥルフ神話」に名前が登場するアブドゥル・アルハザードが持っていた魔法のランプは、火を灯すことで、異世界の風景を次々に映し出すことができたのだ。」

神姫「それって、アレじゃないの?童話の…」

千世子「おそらく「マッチ売りの少女」が持っていたマッチも、これと本質的に同じ魔力を秘めていたと考えられるのだ。以上、ランプのじゅぎょーだったのだ。」
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