ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「雪見大福食いたいな」

摩耶「ああ、美味しいよね。」

悠「あれのでっかいのを食いたい。帽子パンぐらいの大きさの」

神姫「食べきった後はしばらく何も食べられないわね。」

亘理『お腹も壊しそう』

【ブラッドストーン】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ブラッドストーンは、英語で「血の石」という意味なのだ。ジャスパーの一種で、濃緑色の地に赤または赤褐色の斑点があるものを指すのだ。この斑点の正体は酸化鉄ですが、まるで飛び散った血のように見えるということで、この名前が付けられたのだ。日本では「血玉髄」「血玉石」「血石」などの名前で呼ばれているのだ。彫刻やカメオなどの材料としてもよく使われており、アメリカやイギリスでは、アクアマリンと並んで3月の誕生石に定められてるのだ。」

悠「欲望を開放して腹を壊すなら……本望だろう!!」

摩耶「欲望に忠実だね」

サタン「欲しい物は奪ってでも手に入れそうなのだ。」

悠「そりゃお前だろ」

サタン「ふふんっ!」

千世子「古代からブラッドストーンは、特徴的なその模様から、血液に影響を及ぼす魔力を持つと信じられてきたのだ。古代エジプトでは、粉末にして蜂蜜に混ぜ、止血剤や腫瘍の治療に使用していたのだ。古代ローマでは、ブラッドストーンには血止めの効果があるとされ、剣闘士や兵士たちがお守りとして持ち歩いていたようなのだ。また、ブラッドストーンを身に着けていると、他人にだまされるのを防ぎ、自分の話したことを相手に信じてもらえるという言い伝えもあるのだ。」

悠「めっちゃ得意げな顔しやがって、いいぞもっとやれ!」

亘理『ふふんっ!』

悠「……」

亘理『何で無反応!なんでーっ!』

悠「いや、なんとなく」

千世子「ブラッドストーンは、強い魔力を持っているとも信じられてきたのだ。王の怒りを鎮めたり、未来を予知したり、地震や嵐などの天変地異を起こすこともできたというのだ。魔法使いが悪魔を呼び出す際に使ったという話もあるそうなのだ。」

摩耶「でも、雪見大福って要するに餅とバニラアイスだからお餅齧りながらアイス食べたらオッケーじゃない?」

悠「違うだろ」

摩耶「まぁ、違うけど雰囲気的には間違ってなくない?」

悠「…………一理ある」

神姫「いや、違うでしょ」

千世子「中世ヨーロッパでは、ブラッドストーンは聖なる石と扱われたのだ。キリストが十字架上で息絶えたとき、血が足元のジャスパーに滴り落ち、ブラッドストーンが生まれたという伝説が広まったのだ。ここからブラッドスートンは、献身・自己犠牲の象徴として扱われるようになったのだ。」

悠「ブラッドスートンよりブラッディソード」

摩耶「ファイナルストライクで壊れるよ?」

悠「名前負けしてる剣だよな。ブラッディソードって」

神姫「そもそもファイナルストライク自体使えない技だし。よっぽどの理由があって使うなら魔王の斧でぶっ放すわよ。」

千世子「現在でもブラッドスートンは、持ち主に困難を乗り越える力を与えてくれるといわれているのだ。とくに女性が持った場合は、一途な愛を貫き通す勇気を与えてくれたり、安産のお守りとして働いてくれたりするとか。インドでは、粉末状にしたブラッドスートンを、媚薬として使うこともあるのだ。以上、ブラッドスートンのじゅぎょーだったのだ。」
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