ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/6/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「はぁー桜も咲いたなぁ。」

摩耶「教室の窓からみる夜桜って雰囲気あるよね」

悠「そうだな…。酒もって夜桜見もいいかもな……まだ、寒いけど」

花描「夜が暖かくなるまで待ってたら花が無くならないか?」

悠「遅咲きの桜を探すさ」

神姫「昼間見なさいよ」

千世子「それじゃあ、今日のじゅぎょーなのだ。」

【インプ】
魔法の世界の雑用係

神姫「雑用係…」

悠「おれを見ないでください。」

千世子「インプは悪魔の中でも最下層に位置する存在で、魔法使いによって召喚されるものと、独自の判断で行動するものがいるのだ。後者のインプは「小悪魔」と訳されることもあるのだ。西洋的なインプのイメージは、蝙蝠のような羽根と鈎のついた尾をもっていることが多いのだ。」

神姫「羽根と尻尾は……無いわね」

悠「インプじゃねぇよ」

摩耶「陰部?」

悠「そうそうこっちが本体」

パァン!

神姫「子供の前で下ネタは止めなさい」

悠「お、おれぇ…?」

千世子「見た目に反して知能は高く、魔法が使えるものまでいるとされるのだ。今日は、インプの中でも「誰かに召喚されて意のままに操られる使い魔(ファミリア)」についてじゅぎょーしていくのだ」

花描「大丈夫か?」

悠「神姫のビンタは奥歯がぐらぐらする…」

千世子「人間が己の欲望を満たすために召喚するタイプの使い魔としては、魂と引き換えに三つの願いを叶える悪魔(デーモン)が最も有名なのだ。インプも願いを叶える悪魔の一種ではあるが、デーモンのように願いを直接叶えるほどの力はなく、大抵は術者の小間使いとして雑用をさせられるのだ。」

神姫「やっぱり、インプじゃない」

悠「インプじゃねぇよ!」
花描「道化だよな」

悠「うん。……道化じゃねぇよ!」

千世子「こうしたインプに対するイメージは、キリスト教の定義する「ウィッチ(魔女)」の使役するインプから、広まったと考えられるのだ。」

摩耶「小悪魔かぁ…」

花描「ヴアル図書館にも小悪魔ならいるな」

千世子「東洋においては、動物や虫の霊を操る蠱術というものが、道教の呪術のひとつとして存在しているのだ。死んだ動物の霊を操るだけではなく、生きている動物の霊を直接操ることもできるのだ。」

摩耶「悠くん、誰かに操られてる?」

悠「……いやいやいや」

花描「今の間はなんだ」

千世子「こうして霊を操られた動物は何でもいうことを聞く「使い魔」として使うことができるのだ。ただし西洋のインプのように、異世界から召喚された生物を操る術ではないのだ。なお、この術が日本に伝わったときは一大ブームとなり、平安朝時代には蠱術禁止令が出されたほどだったのだ。」

摩耶「インプって、陰陽道の式神もはいるのかな?」
千世子「似て非なるものになるのだ。以上、インプのじゅぎょーだったのだ」
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