ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

亘理『悠ちゃん、悠ちゃん』

悠「はいはい、悠ちゃんですが?」

亘理『野菜育ててみたの!見て!』
スッ

悠「……なんかめっちゃ捩れてるんだけどなにこれ」

亘理『カブ!』

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。アメジストの名前は、ギリシャ語の「methus(酒に酔う)」に否定の接頭語「a」をつけたものに由来しており、「酒に酔わない」を意味するのだ。古代ギリシャ時代、アメジストで作られたグラスに入れた水はまるでワインのように見えましたが、当然いくら飲んでも酔うことがなかったため、こういう名前がついたという説があるのだ。しかしもっとも有名なのは、ローマ神話に登場する乙女アメジストの伝説がその起源であるという説なのだ。」

悠「カブ……カブか、これ?」

神姫「根がらせん状になって茎が中身の巻貝みたいな形になってるわね。」

摩耶「マキガイカブ?」

亘理『おいしそうでしょ』

悠「なにをどうしたらこんなことになったんだか」

千世子「あるとき酒の神バッカスは、いたずらが過ぎて神々をひどく怒らるのだ。その後森で酒盛りをしていたバッカスは、腹いせに手下のバッケー(豹の姿をした酔った猛獣)たちに「次にここを通る人間を食べてしまえ」と命令するのだ。」

亘理『普通に育てたつもりなんだけどなぁ。』

サタン「普通に育ててねじ曲がった野菜になったということのだ?」

悠「こわっ」

亘理『失敬な!』

摩耶「これ食べられるの?」

千世子「そこに通りかかったのは、美しさと親交の篤さで知られた、月の女神ディアナに仕える女官アメジストだったのだ。バッケーに襲いかかられるアメジスト。ディアナはアメジストを守るため、彼女をひとつぶの水晶に変えてしまったのだ。」

亘理『普通に食べられますぅー』

悠「食ったら捻じれそう」

摩耶「えいしょう、いのり、ねんじろ」

悠「灰にならないでください!!」

神姫「まぁ、これはこれで見た目が面白いし悪くないんじゃないかしら」

千世子「水晶のあまりの美しさに酔いもさめたバッカスは、自らの行いを深く悔やむのだ。バッカスが葡萄酒を水晶に注ぐとそれはみるみるうちに美しい紫色へと染まっていったのだ。バッカスはこうして生まれた宝石・アメジストを持つものに、酒に酔わない力を与えたのだ。この伝説のために、アメジストは「バッカスストーン」、「ワインストーン」などととも呼ばれているのだ。」

亘理『じゃあ。神姫さん。プレゼントします』

神姫「観賞用?」

亘理『できれば食べてください!普通にカブですから!!』

悠「まずお前は食ったのか?」

亘理『食べたよ。お漬物で』

悠「……普通だな」

千世子「今でも、アメジストを身に着けていると悪酔いが防げるといわれており、ネクタイピンなど男性用の装身具に利用されることも多いのだ。今日はここまでで続きはじかいなのだ。」
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