ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(4/5/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ここって微妙に遠いよな」

摩耶「悠君の家からだとここ以外の場所も微妙に遠いよね」

花描「電車やらのフリーパス持ってるのか?」

悠「おれには足がある」

神姫「とかいってタクシーとか普通に使うんでしょ」
悠「んな金ねぇよ」

千世子「それじゃあ今日はこのじゅぎょーなのだ」

【マジックポータル】
魔法世界のどこでもドア


悠「どこでもド~ア~」


花描「似てねぇ!?」

千世子「「遠く離れた別の場所へ瞬時に移動できる入口」のことを、一般にマジックポータル、または単にポータルというのだ。」

悠「気を探って移動するのとは違うのか」

花描「悟空の瞬間移動か」

千世子「マジックポータルには大きく分けて二種類あるのだ。ひとつは「同じ世界(同じ宇宙空間内)の、別の場所へとつながる入口」なのだ。ドラえもんの「どこでもドア」や、ドラゴンクエストシリーズで登場する「旅の扉」、ハウルの動く城の出入り口などが、このパターンに入るのだ」

神姫「でもダンジョンにある旅の扉ってたいてい最奥とかよね。もっと近くにつくればいいのに」

摩耶「最終的にはルーラとか飛空挺がメインだしね」

千世子「漫画「幽遊白書」の登場人物、桑原和真が使う「次元刀」は、空間を切り裂いて別の場所に移動できるが、これもマジックポータルの一種とみなせるのだ。」

悠「幽白か!幽白いいな!邪王炎殺黒龍波のコリコリの技から伸びろ霊剣!的な桑原ぴったりの技。でも、やっぱり若いときと幻海のばあちゃんが一番だな。微笑み爆弾も…」

摩耶「あ、悠くんは気にしないで授業続けて」

千世子「ふたつめのパターンが「まったく別世界(異次元や精霊界など)につながる入口」なのだ。不思議の国のアリスに登場するウサギの穴、ドラゴンクエストⅧの「月の扉」なんかが、このパターンにあたるのだ。またファンタジーの古典「ナルニア国物語」では、タンスが別世界に繋がっていたのだ。」

悠「リーゼントにタンクトップのムキムキって桑原はかなりいいキャラだったよな」

神姫「ちょっと、なんか語り続けてるわよ」

摩耶「壊れたラジオと思ったらいいよ。」

花描「それは名曲に失礼だな」

千世子「ダンジョンズ&ドラゴンズの「フォーゴトン・レルム」では、ズバリ「ポータル」という名前の出入り口が世界中にあって、一瞬で色んな場所に移動できるようになっているのだ」

悠「暗黒武道界のゲームは燃えたなぁ。スーファミのやつ裏コマンド知らないと全然キャラ使えないし。」

神姫「煩いわ…」

摩耶「BGMと思うのがコツかな。」

花描「騒音じゃね?」

千世子「このように、創作世界ではいろんな作品に登場するマジックポータルだけど、現実世界の例はなかなか見つからないのだ。そして、数すくないマジックポータルの例を見ていくと、なぜかほとんどが「地獄の入口」で占められるのだ。日本では、鍾乳洞などに「地獄」の名前が付けられている例が多いものの、歴史的にマジックポータルとして使われていた逸話などが残されているものは少なく、近代になって観光地化されてから適当に「地獄の入口」などと名付けられたものが多いのだ。世界的に見ても、「魔法使い本人だけが一瞬で別の場所に移動する術」などはあっても「誰もが利用できる魔法の入口」といった例は、なぜか見られないのだ。以上、マジックポータルのじゅぎょーだったのだ」
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