ー奇談ー學校へ行こう(2)5

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ミラクルっていい言葉だよな」

摩耶「ミラクルグミ?」

悠「いや、三井」

亘理『え、なに?』

悠「ミラクル三井」

亘理『……誰!?』

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。歴史の中でガーネットは、医薬的効能を持っていると信じられてきたのだ。その色が血を連想させるためか、古代ローマ人やエジプト人は、血液の病気の治療にガーネットを砕いた粉末を使っていたのだ。中世ヨーロッパになると、十字軍兵士たちが、血止めの薬としてガーネットを利用した話が残っているのだ。また、熱病や黄疸の薬として処方されていたこともあったのだ。今でもガーネットは、血液の流れを良くし、新陳代謝を高めてくれるパワーを持つとされているのだ。」

悠「ミラクル三井は……ミラクル三井だよ!!」

亘理『そんな連呼されましても…。』

摩耶「色々と濃いキャラばかりだけどミラクル三井はかなり印象に残るよね。」

悠「無印トリックの話の中だとミラクル三井の話が一番素晴らしいと思う」

摩耶「今さらだけどtrickもすごい化けたよね。深夜からゴールデンタイム、スペシャル、映画数本って」

千世子「旧約聖書のノアの箱舟の伝説では、四十日間続いた大洪水のなか、ガーネットのカンテラが暗闇を照らし続けたという言い伝えがあるのだ。ガーネットの強い輝きが邪悪なものを退け、進むべき道を照らしてくれると信じていたのだ。」

悠「初めて深夜に見たのがミラクル三井の回だったからさらに印象深いんだわ。」

神姫「どんなピンポイント加減よ」

摩耶「悠君の首も消えるのかな」

悠「バクのナミダも夢見る宝石も消えるけど銀の手とおれの頭は消えない!」

摩耶「シャール配達してもらえば宝石も消えない」

千世子「ガーネットの石言葉は「真実・友愛・貞淑・勝利」。中世ヨーロッパでは、友情の証として、ガーネットを互いに贈りあうという風習があったのだ。また、愛を誓う恋人たちや、ユダ教の祭司なども、好んで身につける宝石だったのだ。ドイツの文豪ゲーテは、75歳のときに56歳年下の恋人ウルリーケに求婚していますが、彼女は変わらぬ愛の証として、常にガーネットを身に着けていたというのだ。」

悠「むしろシャールの一番の大仕事がソレ」

神姫「魔王殿で蛇女5匹に大車輪の仕事もあるでしょ」

悠「おれはできるならそのタイミングで次元断を閃かせたいな」

摩耶「蛇女って次元断ランクにたっしてるの?」

悠「確か達してたはず。次元断の難易度って19だったから……あれ、カンヘルドラゴだったけ?」

千世子「ガーネットは、持ち主の愛情と忠誠を尽くす石としても知られているのだ。持ち主の希望がかなうように、あるいは目標に到達できるように、力を貸してくれるのだ。仕事、健康、恋愛……。それがどんなものでも、持ち主が心から望んでいれば、ガーネットは惜しみなくパワーを分け与えてくれるのだ。」

亘理『わかりません』

悠「おいおい、これぐらいわからないと廃人になれないぞ」

亘理『なりたくございません』

悠「ハハッ、ぬかしおるわ!」

摩耶「どこのひと?」

千世子「ただし、注意しなくてはならないことがひとつ。他の宝石と一緒に身に着けると、ガーネットのパワーは失われてしまうのだ。意外と執念深いガーネット。どうやら、持ち主の方にも一途さを追求するようなのだ。以上、ガーネットのじゅぎょーだったのだ。」
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