ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「キュウリの嵐」

神姫「は?」

悠「なんかキュウリが異常にできたんだよ。一本いかが?ガリッ!」

亘理『マルカジリ…』

悠「スライスもいいけど暑いときはこうやってかぶりつくのも悪くないだろ。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。テケテケの続きで、テケテケは近年になって有名になった都市伝説の妖怪なのだ。女性の姿をしていて、下半身が欠損しているのだ。下半身がないため、移動手段は手ということになるが、このときテケテケという音がするということから、名前が付けられたといわれているのだ。音から名前が付けられることが多いため、テケテケと呼ばない場合でも、パタパタ、カタカタ、コトコトと呼ばれるのだ。」

悠「ズドズドがないない」

亘理『それ、どうやって移動してるの?』

悠「指を地面に突き立てて」

亘理『こっわ!』

悠「天井からぶら下がってるやつが言いおるわ。」

千世子「他の都市伝説系怪異と同じように、なぜ、テケテケの下半身はなくなったかという説明もされているのだ。」

摩耶「はい、下半身を落としてしまいました。」

悠「何かの隠語みたいだな」

神姫「落とせるもんでもないでしょ。」

摩耶「(斬り)落とされた……かな。」

亘理『こっわ!』

千世子「テケテケとなった女性は、北海道に住んでいたのだが、ある冬の日に列車に轢かれてしまったのだ。しかし、極寒の北海道では血管が収縮するのが早くて、出血多量ですぐ死ぬことができなかったのだ。結局その女性は下半身が切除されたまま、人通りの少ない踏切で、痛みと孤独に長時間苦しんだ末に亡くなったのだ。その苦しみゆえの怨念から、テケテケとなって、失われてしまった下半身を探しているのだというのだ。」

悠「妖怪がさっきから何怖がってる。キュウリでイタズラすんぞ」

雨「なに言ってんだおまむぐっ!」

悠「こういう風に口に突っこむぜ?

亘理『せめてお塩か味噌をつけて!』

神姫「楽しそうね」

千世子「もちろんいくら寒くても、ましてや北海道程度の寒さでは、下半身を切断されるほどの重傷で血管が収縮することはあり得ないのだ。そのうえ、この話を聞くと、3日以内にテケテケが出現するといわれているのだ。」

摩耶「悠君なら下半身が千切れても4.5日余裕だよね」

悠「いつからおれはキメラアントになったんだろうか」

サタン「頭が潰れたらどうなのだ?」

摩耶「死後の念によって殺人ドールと化すよ」

悠「あれ、ネフェル?ネフェルなの?そんなおれ、猫耳美少年だった?」

千世子「冬のスキー場で、雪に埋まった女性を助けたら、下半身がなかったという怪談話も、このテケテケの亜流だろうなのだ。しかし、どうやら、テケテケ発祥は北国ということだけは間違いないようなのだ。」

神姫「最初はグーで殴ってあげましょうか?」

悠「おれなんかのためにこれで終わってもいい、だからありったけを込めなくてもいいっすよ」

神姫「込めないわよ。でも、なぐる」

悠「キュウリで勘弁してください」

神姫「……ガリッ」

千世子「移動する際も、手で歩くほかに、肘だけで歩くひじ子さんバージョンもあるのだ。また、最近では、おかっぱ頭の女の子の頭から、直接手が生えているという、まるで有名なSF映画「遊星からの物体X」に登場したクリーチャーのような状態のテケテケもいるようなのだ。」

亘理『いいんだ』

神姫「キュウリは健康にいいのよ」

悠「ダイエットにもいいらしいぞ」

神姫「私は完璧な身体(プロポーション)してるから関係ないわね。」

亘理『やだ……カッコいい、言ってみたい……///』

千世子「地方によってはテケテケを追い返す呪文も存在するが、あまりポピュラーではないのだ。テケテケは時世ではなく男性という話もあり、この男性バージョンのテケテケは、インターネットの動画サイトで公開されて、都市伝説マニアの間では有名になったこともあるのだ。以上、テケテケのじゅぎょーだったのだ。」
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