ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「最近ゼリーをアイスにするのにハマってるんだけどな」

摩耶「ゼラチナスマター?」

悠「インペリアルクロスで電撃をかまされて半壊する初見殺し…うっ、頭が……」

神姫「バッチリと理解してるじゃない」

悠「敵の手札さえ分ければ対策はとれるからな」

【三本足のリカちゃん】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ある公衆トイレに、ひとりの女性が入ったときのこと。用を足そうと思った彼女が、ふと床を見ると、そこには幼いころ遊んだことのある着せ替え人形が落ちていたのだ。」

悠「トイレに人形が落ちてる時点でホラーだよな」

摩耶「ぬいぐるみとかも嫌だね。落ちてたら。」

悠「ああ、それもいやだな。」

神姫「というか、そもそもトイレに落ちてるものってのが嫌だし、トイレが汚れてるのも嫌」

悠「そりゃそうだ」

千世子「懐かしさも手伝って、その人形を手に取ってみると、妙な違和感がある。しかし、その正体に気がついた女性は、ハッとして人形を落としてしまったのだ。その瞬間、人形から声が聞こえてくるのだ。「わたし、リカちゃん……」と。さらに、その直後のセリフに背筋が凍る。「わたし、呪われてるの……」。その人形には、なんとわき腹から3本目の足が生えていたのだ。」

悠「脇腹からの足……ムカデかな?」

亘理『百本も生えてたらそれはもう別のものだよ……』

雨「八本までなら生えててもセーフ」

悠「タコかよ」

雨「蜘蛛だ!」

千世子「手にした人形を落としてしまったのも、あり得ない場所から生えている足にびっくりしたせいだったのだ。「わたし、呪われての……、わたし、呪われてるの……」。テープに録音されているかのように、人形は発し続けるのだ。女性は、恐怖に駆られてトイレから飛び出したというのだ。しかし、トイレから離れても、家まで帰り付いても、その声が耳から離れないのだ。それどころか、数日たってもまだ聞こえ続けるのだ。女性は、思い余って自ら鼓膜を突き破ってしまったというのだ。」

摩耶「スパイダーガール?」

悠「直訳、蜘蛛女。蜘蛛女だ!!」

雨「黙れ!」

神姫「両方ともうるさいわよ」

悠「いわれてんぞ」

雨「ガチガチッ!」
ズドドッ!×8

千世子「いくら大量生産される人気の着せ替え人形とはいえ、余分に足の生えた製品が流通するとは考えられないのだ。しかし、考えられないからこそ「呪い」という言葉が効いてくるともいえるのだ。つまり、この人形は、流通の過程で誰かが捨てたのではなく、初めから呪われて、そこに存在したと考えるのが妥当なのだ。」

悠「本性を出しつつ足でついてくるんじゃないよもぉ」
ギュビ!
雨「お、おのれぇ…」

亘理『おー、すごい。ロープ一本で縛り上げた』

摩耶「さすがに器用。」

神姫「というか、蜘蛛なのに縛られるってどうなのかしら…」

千世子「古来より、人形は魂が宿るとされてきたのだ。使い古した人形は、捨てるのではなく、神社などに預けて供養してもらう習慣も少なくはないのだ。しかし、この着せ替え人形シリーズは、長年にわたって女の子たちに人気の大量生産品であり、毎年のように新製品が発売されているのだ。だからこそ、捨てられる人形も毎年莫大な数になるのだ。そんな人形たちの呪いが、この都市伝説に集約されたのではないだろうかなのだ。以上、三本足のリカちゃんのじゅぎょーだったのだ。」
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