ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「夜風が気持ちいいぐらいになってきたな。」
ブォォォ!ブァサッ、ブァッサ!

神姫「気持ちいいどころか春一番レベルの風が吹きこんでるんだけど」

摩耶「悠君の髪が海中の昆布並みに揺れてる」

累「トリモチみたいなものあるかな」

悠「何する気だ!」

リリス「トリモチの使い方なんて何かを捕まえるために絡めるしかないじゃない。」

千世子「あんちんの髪に絡まったら…」

悠「……」
ガラッ、バッ!

千世子「窓を閉めて教室の角でファイティングポーズになったのだ」

摩耶「背後に回らせないという意思を感じる。」

神姫「でも、角にいるってことは瓶とか投げつけられるのには弱いのよね。」

累「イイコト聞いたねー」

リリス「ほんとねー」

悠「悪魔ちゃんズに要らん知恵を与えるなかれ!」

神姫「私は思ったことをいっただけよ。」

サタン「別にガラス瓶くらい当たったって痛くはないのだ。イラッとはするけど」

悠「おれは怪我しちゃうんだよ!」

摩耶「傷は男の勲章だよ。」

悠「確かに!」

累「チェーンソー」

リリス「ガッテン」

悠「傷じゃ済まねぇわボケェ!」

亘理『そもそも傷が勲章ってどうなの…』

摩耶「ホントにねぇ」

亘理『あれ?!』

摩耶「いや、だって僕は傷とかつきたくないし、痛いの嫌じゃん。」

悠「……」

サタン「なんとも言えない顔してるのだ」

摩耶「悠君は大丈夫、似合うよ」

悠「へへっ、よせやい!」

千世子「いま、照れるところだったのだ?」

神姫「本人がそれでいいならいいじゃない。」

悠「もっとおれに優しくしてくれてもいいんだよ?」

亘理『任せて!』

悠「……いや、いいです。」

亘理『なんでさーー!』

悠「いや、なんとなく。」

亘理『がるるるっ!』

悠「ワンワンニャー!」

雨「うるさいっ!」

悠「うわ、びっくりした。どこにいたんだ」

雨「天井で寝てたんだよ!」

悠「蜘蛛か!あ、蜘蛛だった。」

雨「絞殺したい……。」

累「ピアノ線でいいかな」

リリス「暴走族が走り回るところに仕掛けたいなぁ。」

摩耶「じっさい綺麗に首チョッパするのかな。」

神姫「ワイヤーぐらいじゃないとダメでしょ」