ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ボディスラムの練習したいなぁ…」

亘理『ボディスラムってなに?』

摩耶「抱え投げの事だね。」

悠「上手いことバーンって投げられるようになりたいなぁ」

神姫「投げるより、投げられる練習のがいいんじゃない?」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで、神奈川県のある小学校では、トイレで自殺した花子という少女がいたというのだ。彼女が死んだ場所が、まさに入って右から3番目の個室だったのだ。昔のことなので、花子がなぜ自殺したのかはわからないのだ。しかし、その学校では、当時から右から3番目のトイレに幽霊が住みついていると、噂になっていたのだ。」

悠「そっちはたっぷりできてる。」

亘理『つまり投げられまくってるってことなんだけど……』

悠「はは、そうだけども?なにか?ん?」

亘理『いえ、なんか、ごめんなさい…』

摩耶「受け身の取れない体勢で投げよう」

千世子「ある日、そのトイレを使った生徒がいたのだ。K子と言う黒くて長い髪が自慢の女の子だったのだ。しかし、トイレに行ったきり帰ってこないのだ。そこで、友達は「右から3番目に入っているK子ちゃん」と呼んだのだ。「はい」と返事があるが、一向に出てくる気配がないのだ。不安に感じながらもその友達は、ひとりでは怖いので、教室にいた他の子も連れてきて、勇気を出してドアを開けてみたのだ。」

悠「それ、致命傷になりうるんですけどねぇー」

神姫「そういうものでしょ。投げ技って」

悠「いや、ケースバイケースだろ。とりあえずスッ転ばすっていう意味の投げもあるし」

累「膝の皿を砕こう」

リリス「投げっていうか、立てれなくする状態だねソレ。」

千世子「トイレの中には、中い黒髪の束と肉片の混じりあった血だまりがあったというのだ。」

悠「多い日」

神姫「……」
ガッ、ドダァァン!
悠「ぐぇぁっ!」

摩耶「今のがボディスラム」

亘理『なるほどなぁ』

千世子「花子さんが、学校のトイレに出現し始めたのは1950年ごろといわれているのだ。ちょうど、日本が高度経済成長期に差し掛かった時期とも重なっているのだ。この時期は、日本人の家族構成が、課長を中心とした大家族制から核家族化していった時期であり、それに合わせるように子供たちの活動も、隣近所という地域社会から学校という閉鎖空間にその中心を移していったのだ。学校は一種の異空間であり、非日常的な場所なのだ。その中でもとくにトイレは、色んな意味で、子供たちの想像を掻き立てる場所であり、集団生活を阻止いられたる学校環境の中で、唯一個室が存在する空間なのだ。学校によっては、別に教職員用トイレが設置されているケースが多く、トイレだけは、純粋に子供たちだけの共有空間となっていたのだ。このような場所では、空間だけでなく、意識も共有されるようになるのかもしれないのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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