ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

雨「はぁ」

悠「なんだ、ため息なんかついて……あっ、なるほど」

雨「聞くとムカつく気がするけど、なるほどってなによ。」

悠「恋煩いだな。相手は何蜘蛛だ?ハエ取りグモか?」

雨「吊し上げるぞお前」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回からの続きでべっこう飴やポマードの効果で口裂け女から逃げたとして、最後まで逃げきれるとは限らないのだ。なぜなら、口裂け女はとてつもなく足が速いとされているのだ。100メートルを3秒で走るのだ。北京オリンピックで大活躍のボルト選手が100メートル走で出した記録が9秒69だったことからみても、口裂け女は超オリンピック級の走者だということが分かるのだ。陸上選手が逃げ延びたという話もあるが、とても逃げきれるようなものではないのだ。」

悠「アシダカ軍曹?」

雨「黙れ」

悠「はっ、まさかタランチュラ?アメリカンなタランチュラか!」

雨「暑くて嫌になってるだけじゃい!」
ズドッ!
スッ×7パシッ!
悠「なんだ。」

千世子「口裂け女が公式に現れた記録は、1979年の岐阜県の地方新聞紙上と言われていてるのだ。その記事では、口裂け女は農家のトイレに出現して、目撃者も老婆だったのだ。しかしその後、口裂け女という強烈なキャラクターが小中学生の間で人気になり、様々な類話を産みながら全国に広がっていき、話を本気にした子供たちの間では、一種のパニック事態を招き、警察が出動したり、学校によっては集団下校するという事態にまで発展してしまったのだ。」

摩耶「七本避けて一本は掴んだね。」

悠「温かいとゆやっぱり身体の切れが違うぜ」
ググッ
雨「はーなーせぇー!」

亘理『楽しそう』

神姫「目、洗ってきなさい。」

千世子「短期間のうちに日本全国を駆け巡ったため、100メートルを3秒で走るなどの特長も付加されたわけだが、そのブームの終焉も早かったのだ。1979年の8月には、ほぼ全国を蹂躙した口裂け女の噂も、小中学校の夏休みと同時に終息に向かったのだ。」

悠「っか、暑かったら着物をやめたらいいのに。うちのザシキモドキにもいってることだが」

雨「うるさい」

悠「水着かサランラップでいいんじゃないかな」

摩耶「サランラップはよけい暑そう」

神姫「そもそも、それどっちも服じゃない」

千世子「だが、しばらく大人しくしていた口裂け女も2000年代に入ると、今度は活躍の舞台を韓国に移すようになったのだ。韓国に出現した口裂け女は、マスクも赤くバージョンアップして「赤いマスクの女」と呼ばれているらしいのだ。さらに、近年になって「口裂け女」と、そのものずばりのタイトルで映画化されたりと、今もなお都市伝説で最も美しい女として、その存在は薄れることはないようなのだ。以上、口裂け女のじゅぎょーだったのだ。」
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