ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

恋大根『……』
ダダダッ!

悠「あれ、恋大根なんかピンク色になってなかったか?」

摩耶「春だからじゃない?」

悠「ああ、桜大根になったか」

神姫「桜大根ってそういうんじゃないでしょ。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで口裂け女はいずれにしてもマスクの下の素顔を見たものは例外なく切り殺される運命が待っているのだ。しかし、そうなるとやはり「助かりたい」という、切実な思いから、他の都市伝説同様に、口裂け女から助かる手段も考案されたのだ。」

亘理『え、違うの?』

神姫「え?」

亘理『え?』

悠「桜大根ってのは大根を梅酢に漬けた漬物の一種であって春先に出来る大根の事ではないぞ」

摩耶「駄菓子屋に売ってるよね」

千世子「口裂け女から逃れる方法で有名なものは、ポマードとべっこう飴なのだ。ポマードは言わずと知れた男性の油性整髪料で、リーゼントやオールバックなど髪の毛をかっちりと固める場合に使用するのだ。口裂け女の口が裂けてしまった理由のひとつに、整形手術の時、医者がつけているポマードの匂いを嫌って顔をそむけたため、口を切り裂かれてしまったという説があり、その他ポマードを嫌うらしいのだ。」

悠「ピンク(桜色)どころか真っ赤になってる桜大根な。」

摩耶「駄菓子屋は色が濃いお菓子多いよねー、アメリカのグミキャンディーよりはマシだけど」

神姫「真っ青とかおよそ食べ物には嫌厭するべき色だものね。」

亘理『けど、漬物とかってお菓子なのかな?』

悠「お茶請けとかおやつ枠だろ」

千世子「また、口裂け女が昔付き合っていた彼氏がポマードを着けていたという説もあるのだ。こうした一種のトラウマを持つ口裂け女にポマードを投げつけることで、逃げる隙を作ることができるというのだ。しかし小中学生はポマードをもっているはずはない。そこで、呪文としてのポマードが考え出されたのだ。口裂け女に出会ったら「ポマード」と3回唱えると逃げられるというのだ。地方によっては、3回が6回といううこともあるようだが、ポマードという言葉に口裂け女は動きを封じられるようなのだ。」

摩耶「塩昆布とかもいいよね」

悠「酢イカ……までになると一応駄菓子枠か?」

亘理『イカ煎餅とかが駄菓子枠じゃない?』

摩耶「釣られるわ、〆られるわ、潰されながら焼かれるイカ」

悠「美味いものの宿命」

千世子「一方、べっこう飴は口裂け女の好物として考案されたのだ。口裂け女に襲われたとき、べっこう飴を投げると、口裂け女は夢中になって飴を舐めるのだ。その隙に逃げることができるというのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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