ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「おいおいおいぃー、まだ雨降ってるし風強いじゃねぇか!」

摩耶「いやぁ、ホントにすごい天気だね。」

神姫「吹雪になってるところすらあるぐらいだしね。」

悠「やだ、超怖い!助けてコタツぅー!!」

亘理『助けになるのかなぁ』

【鈴鹿御前】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。「御伽草子」にある説話だが、昔、伊勢の国の鈴鹿鞘を根城にして暴れまわる大獄丸という鬼が居たのだ。」

悠「大獄丸とかかっこいい」

摩耶「大ノコギリとかもってそう」

累「錆びて刃こぼれした鋸ならあるけど」
ジャギ

悠「しまえ」

亘理『なんでボロボロ?』

千世子「朝廷は、坂上田村麻呂を討伐将軍に任じて、3万の兵を与えたのだ。ところが大獄丸は、魔術を弄して田村麻呂の軍勢を寄せ付けなかったのだ。」

神姫「ボロボロのほうが切るのに時間がかかるし錆びてると毒になるでしょ」

亘理『んー?』

摩耶「木を切るなら綺麗なほうがいいけど、拷問的な意味で使うしたら?」

亘理『あっ……(察し)』

悠「あの錆もなんでさびてるのかわかったもんじゃない」

千世子「田村麻呂が毘沙門天と千手観音に救いを求めると鈴鹿御前という天女に助言を求めるべしとお告げがあったのだ。」

ベヒモス「ノコギリぐらいじゃダメモス」

悠「一般人には十分に凶器なんだよなぁ。」

摩耶「まぁ、場合によっては神ですら真っ二つになるし」

悠「チェーンソーでかみはばらばらになった」

サタン「ざまぁなのだ」

千世子「鈴鹿御前は大獄丸がかねてから求婚している美女だったが、鈴鹿御前は田村麻呂を見ると、大獄丸より田村麻呂の方が美丈夫だと思い、田村麻呂の手伝いをすることに決めたのだ。」

悠「こいつはこいつで神を敵視しすぎだろ」

サタン「向こうが敵視してるからなのだ」

摩耶「天使とかは?」

サタン「あの羽虫どもは焼き殺したいのだ。」

悠「天使を羽虫扱い」

千世子「鈴鹿御前は、大獄丸の魔力の元である3本の宝剣のことを語り、それを自分が大獄丸から奪ってくると田村麻呂に告げたのだ。案の定、鈴鹿御前に油断した大獄丸は宝剣を奪われてしまい、田村麻呂にやすやすと討ち取られてしまったのだ。」

神姫「恐らく天使側も悪魔とかを蠅とかって思ってるんでしょうね。」

悠「仲よくすりゃいいのに」

摩耶「柏さんと仲良くできる?」

悠「争え争え!徹頭徹尾、争え!」

神姫「悠みたいのが一番立ち悪いのよね。」

千世子「こうして親密となった田村麻呂と鈴鹿御前はめでたく結婚したのだ。ところが、首を刎ねられたはずの大獄丸が生きかえり、蝦夷を支配する悪路王のもとに身を寄せて、復讐の時を狙っていたのだ。しかし、征夷大将軍となった田村麻呂は悪路王を攻めて、このときに大獄丸を完全に封殺したのだ。」

亘理『……妖怪の私たちはどっちの味方なんだろ?』

悠「妖の怪って書くんだしどっちかっっていえば魔王悪魔勢だろ」

サタン「物量であっとうするのだ!」

摩耶「神とかは八百万っていうけどね」

悠「米ひとつぶに88人の神様がいるとかいうぐらいだしな」

千世子「田村麻呂と幸せに暮らしたと伝えられる天女の鈴鹿御前だが、別の言い伝えでは悪路王の妻で、田村麻呂と戦って切り殺される鬼女ともいわれているのだ。また、「古今著聞集」などでは、女盗賊として描かれているのだ。」

サタン「わけわからんのだ」

累「つまり私たちは神を食い物にしている」

リリス「握って、炒めて、ときにはつぶして!」

悠「言い方」

千世子「どちらの伝説が正しいかはわからないが、少なくとも歴史上の田村麻呂の妻は、三好清継の娘、高子なのだ。もし、鈴鹿御前が田村麻呂の妻だったとしても、それはあくまでも側室の身分、日陰の女だったのだろうなのだ。のた、大獄丸を退治したのは田村麻呂ではなく、天台座主・明快の父で将軍だったとされる藤原俊宗という武将だったという伝承もあるのだ。以上、鈴鹿御前のじゅぎょーだったのだ。」
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