ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ふんふんふーん」
サッサッ
千世子「……」

悠「ふんふふふふんーーーー!!」
サッサッ
千世子「あんちん、煩いのだ」

悠「乗ってきたーー!刻むぜ血液のビート!」
バァン!
千世子「刻まなくていいのだ!」

神姫「ツインテールに結わうだけでどれだけ力入れてんのよ」

千世子「はー……はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで羽衣天女の伝説で、もっとも古い形とされているのは「丹後風土記」の逸文にのこされた伝説で、丹後の山中にある池に8人の天女が舞い降りたという記述があるのだ。池で水浴びをした天女たちを見かけた老人が、ひとりの天女の羽衣を奪って強引に連れ帰ったのだ。天女は万病に効く酒を作ることができたので、それで老人の家は栄えたというのだ。ところが裕福になると、この老人は天女が邪魔になってきて、ついには家から追い出してしまったのだ。この天女が豊受大神となり、やがて伊勢神宮にも祀られるようになったのだ。」

悠「ツインテールはさいつよ」

摩耶「さいつよ勢は頭悪いなぁ」

亘理『さいつよってなに?』

神姫「最強ってことよ」

亘理『最強、さい、つよ……ああ!』

千世子「男が天女を下界に繋ぎとめるために羽衣を隠した場所は、主に穀物などの貯蔵場所とされることが多いのだ。これは、豊受大神が豊穣神であり、食べ物や穀物をつかさどる女神であることが関係していると思われるのだ。イザナミの尿から生まれた稚産霊(わくむすび)の娘だが、父親同様に穀物の神となったわけなのだ。」

摩耶「怪獣でもツインテールっているよね」

悠「あれ、もっとツインテールらしいツインテール怪獣に出来たと思うんだけどなぁ」

サタン「ツインテールって言葉がゲシュペンストしそうなのだ」

悠「ゲシュペンスト?幽霊が何だ?」

サタン「ユウレイ?」

悠「え?」

サタン「え?」

千世子「羽衣天女の説話は、七夕伝説と混じることがあるのだ。それは牛飼いの青年牛郎が、水浴びをしていた天女の衣を隠してしまうという物で、まったく羽衣天女と同じ筋書きなのだ。この天女の名前は織女といって、二人は夫婦になるのだ。そして幸せな日々を過ごすのだが、やがて織女は天に帰らなければならない。牛郎も織女を追って天に昇ろうとするが、織女の母に邪魔されてしまい、天の川の両端に引き裂かれてしまうのだ。こうして、牛郎と織女は、年に一度だけ七夕の夜に会うことになったというのだ。」

神姫「おそらくゲシュタルト崩壊って言いたかったんでしょうね」

サタン「それなのだ!」

スキュラ「ユウレイというのは?」

神姫「ゲシュペンスはドイツ語で幽霊って意味よ」

悠「そうだ。」

千世子「東洋でもっとも有名な純愛物語は、羽衣伝説のバリエーションなのだが、帰れないように拉致監禁をした男となぜ純愛が成立するのか、はなはだ不思議ではあるのだ。以上、羽衣天女のじゅぎょーだったのだ。」
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