ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「灯をつけましょイッツァルナティックターーーイム!」

累「……」
ゴオオオォォ

悠「おい、火炎放射器をこっちに向けんな。グーでいくぞ、グーで」

累「女の子を叩くなんて最低ー」

リリス「鬼畜ー」

悠「うるせぇ、悪魔ちゃんズめ!この小鳥遊悠、容赦はせんっ!」

摩耶「スト様かな?」

千世子「暴れたらひな人形が崩れちゃうのだ」

神姫「この雛段とひな人形どうしたの?」

亘理『私が今朝がた覗いた時にはもう置かれてたよ』

悠「いやいや、この壮大な雛段はパッと出して並べられるもんじゃないだろ。」

亘理『義鷹が……やらないか』

悠「義鷹はないだろ。かといって他に一瞬で出せるとしたらメフィストぐらいだろうけど、アレもそんなことするタイプじゃないし」

サタン「それなら我が見たのだ」

悠「ん?誰がやってたんだ?」

サタン「自分で動いてたのだ」

「「『は?』」」

サタン「だから、自分で動いてたのだ。雛段も布も飾りも」

摩耶「それは空中を飛んでたってこと?」

サタン「いや、なんていうかホバー移動というか、こうススッーって感じになのだ。」

悠「サタン、そんな格好してるから風邪を引いて熱が…」

サタン「我は健康なのだ!!」

神姫「自我を持ってるってことかしら」

摩耶「まぁ、大根が走り回ってるくらいだから人形が動いてもここだとおかしいことではないよね。」

亘理『ということは……呪いのひな人形?』

悠「ほーん、呪いのねぇ」
ひょい

摩耶「普通に持ち上げたね。」

悠「いや、だって本当に呪いとかあるならもっと騒いでるはずだろ。っか、なんで呪いの品ならメフィストがコレクションしてないんだろうか。」

メフィスト「ああ、それには理由があるのデス」

悠「うぉっ。びっくりした」

義鷹「その人形どもは触らない方がいいぞ」

悠「義鷹まで……えっ、なに、そんなヤバいの?」

メフィスト「えーと……裏」

悠「裏?」

義鷹「その人形、ひっくり返してみてみろ」

悠「はぁ……!?」
クルッ、バッ!

千世子「どうしたのだ?」

摩耶「なに、呪符でもはってあったの?」

悠「い、いや、えーと……確かに、これは嫌だわ。っか、気持ち悪いわ」

亘理『えっ、な、なに?』

悠「この人形の裏……肉の芽みたいな小さな突起が無数に生えててうぞうぞして…」

亘理『やめてっ!!』

サタン「ああ!ホバー移動じゃなくてじっさいに走ってたってことなのだ!」

冥「そのひな人形はぜーんぶ中途半端に付喪神化したものなのですナ。段から小道具まで全部。それで3月3日になると自分たちで出てきて、こうしてどこかに並ぶんですナ。そして次の日には勝手に倉庫に戻る……ですナ。」

悠「律儀というかなんというか……しかし、ピンポイントで人間の生理的嫌悪感を狙い撃つ裏側だった……。」

冥「だから、みんなこのひな人形は遠くから眺める深いことは考えないってことにしてますナ」
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