ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/31/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「お、レベルアップ」

摩耶「悠くん、今のスタイルなに?」

悠「ムエタイ」

摩耶「中国拳法に交えようか。」

悠「いや、中国拳法レベルMAXまで上げたし…」

神姫「千世子ちゃん来ないわね」

花描「珍しいよな」

千世子「お、遅れたのだ!」

悠「あ、来た。」

千世子「これを探していて遅れたのだ!」

摩耶「棍?」

悠「ひのきのぼう?」

神姫「今までのながれからして…」

花描「杖か?」

千世子「そう。今日のじゅぎょーはこれなのだ!」

【杖】
魔法使いの知恵の象徴

悠「ああ、ワンドか」

摩耶「え、スティックでしょ?」

花描「スタッフだろ。」

神姫「バトンじゃない?」

千世子「他にもケーン、ロッド、ポール……これは全部日本語で「杖」を表す単語なのだ。どの単語をどんな用途に使う、といった厳密な区別はないのだ。それでも言葉の使われかたには、だいたいの傾向といったものが見受けられるようなのだ。」

摩耶「ぶん殴るにはロッド、両手で構えるにはスティックとか?」

花描「その用途は魔法使いじゃないな…」

千世子「例えば、古代の指導者のもつ杖は「ロッド」と呼ばれるものが多いのだ。中世ヨーロッパで王権を示す宝物として使われた豪華な装飾のついた杖は「セプター」と呼ばれたのだ。ちなみにハリーポッターが使う、指揮棒のような短い杖は「ワンド」なのだ」

悠「おれはたまにマタタビスティックをマリオに献上するけどな」

摩耶「献上するけど?」

悠「振り向いてはくれませんよ。」

神姫「キャバに貢ぐダメ男みたいね。」

千世子「日本語でいう「杖」のイメージにもっとも近いのは、手に持ったときに地面につくほど長い、歩行の助けとして使われる実用的な棒なのだ。これらはスティックまたはスタッフと呼ぶことが多いのだ。」

悠「あ、今思い出したけど手品に使う杖は、特にケーンって呼ばれるらしいぞ。」

千世子「杖は老人が歩くときに体を支えるために使うものなのだ。このことから「豊富な人生経験」そして「知恵そのもの」を表す象徴として「杖」が使われるようになったのだ。王がもつ装飾品のセプターやロッドは、こうした「知恵の象徴として」にほかならないのだ。」

神姫「……ねえ、「知恵のある老人は杖を持っているのと「杖を持っていれば知恵がつく」だと因果関係が逆転してない?」

千世子「そこからしだいに「杖そのものに魔法の力が宿る」という発想に繋がっていったのだ。「魔法のアイテムとしての杖」の機嫌なのだ。今日はここまで、続きは明日なのだ!」
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