ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ほんとに挨拶だけで帰ったな」

摩耶「挨拶以外のこともしてほしかったの?」

悠「……いや、ろくなことにならないな。」

神姫「もう手遅れでしょ」

悠「ま、まだイケるし!おれは呪われてない!」

【座敷童】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。東北地方に伝わるある有名旅館での話なのだ。その旅館の主の先祖は、南北朝時代に南朝方に仕えた武将だったのだ。それが、南朝の衰退とともに東北に流れて、現在の旅館が立っている土地に住みついたのだというのだ。武将の家には男の子がふたりいたのだ。兄弟はとても仲が良かったが、兄の方が流行病にかかって、まだ6歳になるかならないかのうちに早死にしてしまったのだ。この男の子が精霊となって、仲良しだった弟の子孫が経てた旅館に、今でも幸運を呼び込んでいるということなのだ。」

摩耶「呪われてはないよ。憑かれてるけど」

悠「それは……一理ある。」

神姫「一どころじゃないでしょ」

悠「二、三」

亘理『四』

悠「出れなくなるからお前は却下」

千世子「同じく旧話の話。その家の奥座敷には、子供にしか見えない赤い着物を着た女の子の例が出るというのだ。子供たちが集まって遊んでいると、いつの間にか混じっていて、一緒に遊ぶのだ。」

亘理『妖怪差別反対!』

悠「差別とかじゃない、わが身の保身だ」

摩耶「まぁ、悠君も決して人間じゃないしね」

悠「めっちゃ人間じゃい!」

神姫「はぁ…」

千世子「大人がいくら目を凝らしても、その子だけは見えないのだ。足跡を発見することは有っても、決して大人には見えないのだ。ときどき、その女の子の霊は悪戯をして、寝ている人の枕を返していくというのだ。しかし、その女の子が居る間は、家が栄えると先祖から伝えられているので、奥座敷にはお供え物をして手厚く遇しているのだ。この女の子も座敷童と呼ばれているのだ。」

サタン「ため息つかれてるのだ」

悠「理由が分からないけど、とりあえず神姫のため息を確保しといたら売れるかもしれない」

摩耶「息を売るという謎行動」

悠「富士の空気とかあるくらいだし。美女の息なら数倍の値段で売れるはず」

神姫「うざい」
パァン!
悠「超いてぇ!」

千世子「また、ある地方では、生活の苦しさから生まれたばかりの赤ん坊を間引く習慣があったのだ。そして、間引いた子供を家の中のある場所に埋めて丁重に祀ったのだ。すると、子供が座敷童となって、家を守ってくれるというのだ。今日はここまでなのだ。」
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