ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

摩耶「見てみて、校庭で雪だるまが闊歩してる」

神姫「アニメとかだとメルヘンだけど、現実に見ると……ホラーね。」

亘理『あの雪だるまの中に冷気が詰まってて動いてるらしいですよ』

悠「ゆき、さむい、しぬ、あはははっ…」
ガバッ!

サタン「頭から布団かぶって壊れたのだ。」

千世子「はーい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで三年ほどたったある冬の日。吾作は道端で見知らぬ女に道を尋ねられたのだ。聞けば、これから峠を越えて日光までいくというのだ。雲の様子から見ても吹雪になりそうで、しかも明るいうちに峠を越えるのは無理だと思い、明日改めて出直した方がいいと勧めたのだ。ところが女はこの辺りに身寄りがないので、止まるところもないというのだ。ならばと、吾作は自分の家に女を泊めてやることにしたのだ。」

神姫「もともと正常ではないから。」

亘理『どっから持ってきたんだろう』

摩耶「持ち歩いてるんじゃない?」

サタン「布団を?」

スキュラ「ある意味アグレッシブですね。」

千世子「囲炉裏にあたりながら、女は身の上を話し始めたのだ。その女は羽前から出てきたらしく、名前を雪といったのだ。先日両親と死に別れたため身寄りがなくなり、遠い親戚のいる日光までいくところだったというのだ。吾作は雪に深く同情したのだ。」

累「これ、今なら死角だらけじゃん」

リリス「石投げる?刃物投げる?」

累「じわじわとしみこむ毒がいいかな」

悠「全部聞こえてるからな!!」

神姫「うっとおしいから動くな」

千世子「翌朝も、その翌朝も吹雪は続いていたのだ。雪は、吾作が引き止めるままに吾作の家に居続け、そうこうするうちに季節が変わり春になったのだ。雪は、「ただ厄介になるのも」と、吾作の家の掃除や洗濯などを進んで手伝うようになったのだ。」

摩耶「悠くん、妖怪みたいだよ」

悠「可愛い系の?」

摩耶「……」
ざふっ!
悠「雪をつめこまないで!!」

亘理『ひえぇっ』

千世子「彼女は気立てが良く、気が効き、吾作のことを大切に扱ってくれて、そして、いつしか二人は夫婦になっていたのだ。そして10年があっという間に過ぎ、吾作と雪は、可愛らしい3人の子供まで授かっていたのだ。今回はここまでなのだ。」
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