ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「さむいー。」
ぎゅーっ
毛玉『……』

千世子「あんちん、なに抱きしめてるのだ?」

悠「わからん。なんか温かい毛玉だ。」

摩耶「分からん物を温かいという理由だけで抱きしめる勇気。」

神姫「無謀とか愚行っていうのよ。」

千世子「前回の続きからで、噂の妖怪ウブメがが現れると季武は近づいたのだ。すると、彼女は季武の顔を見据えると「少しの間、この赤ん坊を抱け」といったのだ。季武は、言われた通りに赤ん坊を受け取り、そのまま川を渡ることにしたのだ。この赤ん坊を妖怪出没の証拠にすればよいと思ったのだ。」

悠「でも、特になにも害はなさそうだぞ。」

亘理『どこでそんなの拾ったの』

悠「廊下に転がってた」

摩耶「だとしても拾わないよね。」

悠「え?」

千世子「「赤ん坊を返せ」と叫びながら、必死の形相で季武を追いかけてきたのだ。季武は、ウブメの言葉が聞こえないように、馬をさらに進めて川岸へと戻ってウブメを振り切ったのだ。季武が宿へ戻って、腕の中の赤ん坊を見ると、そこには木の葉が数枚あっただけだったのだ。」

サタン「それ、いきものなのだ?」

悠「温かいし生きてるんじゃね?」

累「爆発したりして」

悠「なんでやねん」

摩耶「小玉鼠的な」

千世子「これは「今昔物語」にも採録されたウブメの説話だが、これとは別に「怪力由来」の話として、日本の各地に伝えられた民話、伝説化したウブメの話では、度胸だめしに彼女のもとにやってきた男が、髪をとかす間だけなどの理由で、赤ん坊を預かることになるのだ。すると赤ん坊が石のように重くなるのだが、それを我慢して、赤ん坊をウブメに返すのだ。ウブは、赤ん坊を預かってもらった礼に、男に怪力を伝授するのだ。そして、男はウブメにもらった怪力で殿様などの目に留まり出世していくというのだ。」

悠「これは鼠ってサイズじゃないぞ。」

義鷹「それはノズチだ」

悠「あら義鷹。……ノズチ?ノズチってあの何でも吸い込む?」

義鷹「そうだ。ただ、そいつは冬眠してるけどな。」

悠「へぇ……でも、イメージ的にノズチって蛇みたいな感じなんだけど」

千世子「古くから日本各地では、産褥で死んだ女がウブメになるとされてきたのだ。山形県などでは、ウブメは年越しの夜などに多く出る便所の怪といわれているのだ。子供を便所に捨てて間引きした女の無念が化けて出ると考えたのだ。いずれにしても出産によって不幸になった女の怨念が化けて出たものには違いないのだ。」

義鷹「そういう種のノズチもいる。そいつは起きてるときはゾウみたいな鼻が伸びて、そこから物を吸う」

摩耶「毛玉からゾウの鼻みたいなの」

悠「それって、ちん」

神姫「だまれ」

悠「アッハイ」

千世子「また、ウブメは姑獲鳥という名で、荊州に住む鬼神で鳥の姿をしており、毛を脱ぐことで女の姿に変身して、夜飛び回っては子供を攫うと中国では伝えられているのだ。以上、ウブメのじゅぎょーだったのだ。」
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