ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「……」

神姫「冬の爬虫類並みにピクリともしないわね。」

摩耶「騒ぐ気力もないってことかな」

累「脳まで凍ったとか?」

摩耶「極寒だとその死に方あるらしいね。脳が凍って機能停止する。」

【ウブメ】

千世子「うー、でもホントに寒いのだ。はい、じゅぎょーしますなのだ。昔、源頼光という名高い武将がいたのだ。頼光は、土蜘蛛や酒呑童子など、都を荒らす妖怪を退治したことでも有名な武将だったのだ。その依光の部下には山姥に育てられた坂田金時や、茨木童子という鬼の腕を切り取った渡辺綱などの豪傑が集まっていたのだ。」

悠「……」
ばさっ

サタン「ついに頭から毛布かぶったのだ。」

亘理『なんかやたら大きな荷物があると思ったら毛布だったんだ…』

摩耶「よっぽど寒いんだね。」

神姫「それにしてもこれはこれで何か見た目がうっとおしいわね。」

千世子「この頼光の家来に、卜部季武(うらべのすえたけ)という弓矢の名人がいたのだ。末武は、肝が太いことが自慢で、敵が百人いても決して恐れない剛の者だったのだ。」

悠「さ・む・い」

摩耶「あ、喋った」

悠「さ・む・い」

亘理『同じ言葉を繰り返してる。』

悠「また同じ朝を繰り返してる?」

亘理『いってない』

千世子「ある日、頼光の供をして美濃国へ来ていた季武は、夜もふけたので宿を取り、そこで仲間たちと酒を酌み交わしていたのだ。そんなとき、この近くの川に出るという妖怪の話になったのだ。仲間たちは、ひとりきりでその川を渡ることができるかどうかという賭けを始めたのだ。季武が「そんなことは造作もない」と言い放ったので「それならば」と、武具をかけて勝負することになったのだ。」

悠「バイッアダスト…」

摩耶「これ割と元気だよ」

神姫「知ってた」

サタン「毛布引っぺがしてやるのだ。」

悠「やめて、ホントにやめて。やめて!!」

千世子「季武は、ほろ酔い気分のまま馬に乗ると、その噂の川へとやってきたのだ。そして、川を渡った証拠に自分の矢を向こう岸に突き立てると、宿へ戻るため再び川へ入っていったのだ。川の中は中ほどあたりまで馬を進めた時、目の前に赤ん坊を抱いたうら若い美女が現れたのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
38/100ページ
スキ