ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/29/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ちぇきばんわ」

摩耶「晩上好(ワンシャンハオ)」

花描「Good evening」

神姫「こんばんわ」

千世子「なんでみんな挨拶がバラバラなのだ?」

悠「ノリかな。」

神姫「悠のは挨拶かどうかわかったもんじゃ無いけどね。」

千世子「まぁ、いいのだ。今日からは魔法のアイテムのじゅぎょーになるのだ。一番目はこれなのだ」

【スクロール】
これを使えば一般人でも魔法が使える?

悠「この巻物に妖怪が封じされてるのか何て巻物だ?へい、カッパロールです。」

摩耶「悠くんそれは無理がありすぎるよ」

悠「うん。いってかなり後悔した。」

千世子「多くの魔法は呪文を唱えることによって発動するのだ。この呪文を記録する際には、決まってスクロール(巻物)が使われるのだ。」

花描「しかし、俺が知るなかじゃ現実に存在する魔導書は、ほとんどが巻物じゃなく冊子の形だぞ。」

千世子「けど、特に創作の世界では必ずスクロールを使って呪文を記録するのだ。」

摩耶「なんで魔法の呪文はスクロールに記録するのが暗黙の了解みたいなの?」
千世子「スクロールの起源は、古代ギリシャやエジプトで使われていたパピルスなのだ。「パピルス紙」などと表記されることが多いのだ。」

悠「けど、厳密にいえば紙とは違うんだよな。パピルスは性質上あんまり扱いやすいものじゃないし、折り曲げたりはしないほうがいいんだ」

千世子「そうなのだ。だからパピルスの「書物」は折り曲げないように筒状に巻いて(スクロールの形で)使用していたのだ」

悠「パピルスついでにいうとパピルスは製造に手間がかかるんだ。だからかなり高価だったんだぞ。」

摩耶「なるほど…」

神姫「そうなの?」

千世子「そうなのだ。扱いにくいうえに高価とあって、中国の紙がヨーロッパのほうに伝わってくると、あっというまにパピルスは廃れてしまったのだ。」

悠「たしか、現存するパピルスは、王族とか特別な……」

千世子「あんちん!お口チャックなのだ!!」

悠「お口チャックノリス…」

千世子「コホン、王族など特別な身分の人々が残した書物ばかりなのだ。また、パピルスであるという時点で「内容が古い」ということを示しているのだ。パピルスのスクロールは「太古の特別な記録」の象徴なのだ。」

悠「ちなみにライデンパピルス…」

千世子「ジッ…」

悠「お口チャック、チャック」

千世子「錬金術の原典とも呼ばれる書物に「ヘルメス文書」と呼ばれるものがあるのだ。ヘルメス文書は、ギリシャ十二神にして錬金術のかいそでもあるヘルメス・トリスメギストスが著したとされる魔術書なのだ。このヘルメス文書の一部とそっくり同じ内容の「ライデンパピルス」が古代エジプトの墓から発見されたこともあるのだ。だから「パピルスのスクロールには魔法の秘術がかかれるもの」というイメージが定着していったのだ。以上、パピルスのじゅぎょーだったのだ」
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