ー奇談ー學校へ行こう(2)4

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ショータイム!」

摩耶「どしたの?」

悠「クィックタイム!」

摩耶「……タイムアタック!」

悠「ひゃっほーい!」

神姫「寒さでおかしくなってるわね。」

【六条御息所】

千世子「はい、じゅぎょータイムなのだ。日本を代表する文学「源氏物語」の主人公で光源氏という貴族が居たのだ。彼の恋人のひとりに六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)という高貴な女性が居たが、信仰が深まるにつれて、自分より年長の六条御息所の事を源氏は煩わしくなっていくのだ。彼女も、そんな彼の気持ちを察して、そろそろ身を引こうと考え始めていたのだ。」

亘理『凍るレベルだもんね。』

悠「場所によっては電車が動かなくなってるんだぞ!死んでしまうわ!」

サタン「飛べばいいのだ」

悠「飛べねぇ!」

サタン「文句が多いのだ。」

千世子「賀茂祭りの日、六条御息所は網代車を仕立て、最後にひと目源氏を見ようと出かけていったが、有名人の彼を見たい人々で、都大路はごった返していたのだ。しかも、そこに運が悪いことに、源氏の正妻で妊娠中の葵の上が牛車でやってきたのだ。源氏の権勢を盾に、葵の上の牛車は、他の貴族たちの車を押しどけて場所取りをしたのだ。そして、六条御息所の車も、他の貴族たちと同じ扱いを受けてわきに追いやられてしまうのだ。六条御息所が、源氏の恋人だと知っている人々が見ている前での出来事であり、気位の高い六条御息所はこれまでに受けたことのない屈辱を覚えたのだ。」

摩耶「仮に飛べたとしても……風切って飛んだらシャレにならないレベルで寒そう」

悠「ひぇぇっ」

スキュラ「では、水の中は?」

悠「はい、ただの入水自殺です。本当にありがとうございました。」

摩耶「氷漬け」

千世子「そのときから、葵の上の枕元に奇怪な訪問者が現れるようになったのだ。妊娠中でもあった葵の上は、夜ごとに出現する人影におびえ、生命の灯がじょじょにかき消されていくようだったのだ。そして、ついに出産の時がやってくるのだ。出産の痛み以上に苦しむ葵の上は、どうにか男の子を産み落とすが、自身はそのまま帰らぬ人となってしまったのだ。人々は、葵の上を苦しめたのは六条御息所の生霊だと噂したのだ。」

神姫「というか、移動のほうほうの問題じゃなくて寒さをどうするかでしょ」

悠「そうです!」

累「もう頭から油かぶって火でもつけときなさいよ」

悠「入水だったり焼身だったり大忙しか!」

亘理『忙しいじゃ済まないよ…』

千世子「比較的にロリコン趣味な源氏の君の恋人としては、珍しくお姉さま系のキャラなのだ。紫式部の「源氏物語」に登場する六条御息所は、いわば史上最古の怨霊なのだ。生きながら怨霊となり、葵の上を取り殺し、死んだ後も紫の上や女三宮に憑りついて、源氏を悩ませたのだ。そのごひとり娘の秋好中宮が追善供養を行って、ようやく成仏したと思われるが、プレイボーイで知られた光源氏に、女の怨念のすさまじさ思い知らせる存在なのだ。以上、六条御息所のじゅぎょーだったのだ。」
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