ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/27/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「まったく脈絡のない質問なんだが神姫って宗教は?」

神姫「私自身は無神論者よ。だって、私が竜であり、神であり、姫なのよ。」

悠「なんたる自信だよ…」

摩耶「あはは。なんかカッコいいね」

千世子「じゃあ、今日のじゅぎょーは神仏の力で身を守る結界なのだ」

【九字】
臨兵闘者皆陣列在前

花描「最近は結界系の授業が多いな。」

千世子「特定のデザインを使って魔物から身を守るのが「マジックサークル」、特定の歩行パターンを使って魔物から身を守るのが「反閇」とするなら、「特定の手の動き」で魔物から身を守る方法が「九字」なのだ。」

神姫「九字って、九字護身法のことよね。」

千世子「そうなのだ。臨兵闘者皆陣列在前(りん・ぴょう・とう・しゃ・かい・ちん・れつ・ざい・ぜん)の九つの文字を唱えながら、それぞれの文字ごとに決められた手のポーズを作るのだ。」

悠「この九字は、もともと仏教(インド)が由来になった呪文という説と道教(中国)が由来になった呪文だという説の二つがあったな。」

千世子「日本では、仏教の一派である「密教」の僧や、修験道の山伏、陰陽師などがこの九字護身法を使ってきたのだ。その名のとおり、魔物から身を守る効果があったというのだ。」

摩耶「あれ?仏教に道教に神道がチャンポンになってない?」

千世子「そうなのだ。この九字護身法は、チャンポンなった日本の文化の中で受け継がれてきたものなのだ。だから「臨兵闘者皆陣列在前」の字は、それぞれ神と仏の両方を意味してるのだ。宗派によって、字の意味する神仏が微妙に違ったり、そもそも九字に含まれる文字自体が異なるケースもあるのだ。けど「九字を使って身を守る」という用途は同じなのだ。」

神姫「ある意味いい加減よね…。」

花描「宗派や文化の違いさ。」

千世子「九字護身法を利用することを、特に「印を結ぶ」ということがあるのだ。この「結ぶ」は「結界」のことを意味しているのだ。九字によって、あたり一帯に防御フィールドが張られるのだ。」

悠「崇は絶対王域、氷室さんは絶対氷域が張れるようなもんか」

摩耶「悠くんはナニ域が張れるの?」

悠「ハラスメントフィールドとか?」

神姫「バカ領域ね。」

千世子「したがって、用事が済んで結界の必要が無くなった場合(妖怪を追い返した後など)には、きちんと結界を解除する必要があるのだ。」

花描「張りっぱなしはダメなんだな。」

千世子「今日はここまで続きは明日なのだ!」
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