ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた

悠「……臭い」

摩耶「臭いね」

亘理『なんの臭い?』

悠「なにかは分からんが明らかにおれの机や椅子から異臭がするんじゃあーー!」
ブォン!
累「……」
サッ
ゴッ!
千味「く゜ふっ!」

千世子「はい、暴れてないでじゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで、岩の失踪があり、その後、田宮家では不可解な災いが続いたため社を勧進したのが、田宮神社となったと伝えられているのだなお、田宮家の記録に残る岩という女性はこの災いのかなり前の人物で、しかも夫婦仲が良かったとされているので、怪談のお岩さんのモデルとなったのは、数代後の実際にいる伊右衛門の妻ではないかと考えられるのだ。」

サタン「なんか今、関係ないのにクリーンヒットしたのだ」

スキュラ「私には累さんが盾にしたように見えましたが」

累「いきなり何するのよ」

悠「やっかましい!」

累「お前の声のがやかましいわ」

千世子「いずれにせよ、女が狂乱の態をなして疾走するさまは、当時の目撃者たちの間で話題になり、また、符合するかのように田宮家に災いが起こったため、江戸の噂雀たちの格好の標的となったのだろうなのだ。」

摩耶「見事な返し」

神姫「確かにうるさい」

悠「おれが悪いの!?」

神姫「悪いとは言わないけどうるさいのはうるさいのよ。静かに殺りなさい」

亘理『字が怖い』

千世子「19世紀になると、当時流行していた歌舞伎狂言でもお岩の事件が取り上げられるようになったのだ。中でも有名なのが、四世鶴屋南北による「東海道四谷怪談」なのだ。」

リリス「ところでどうでもいいんだけど机が直撃したのそのままでいいの?どうでもいいんだけど」

亘理『二回いった』

摩耶「心底どうでもいいってことなんだろうね」

悠「どうせ死なないだろ」

累「この妖怪殺し!」

千世子「「仮名手本忠臣蔵」の外伝として書かれたもので、主人公の田宮伊右衛門は、改易された塩治家の元藩士だったという設定なのだ。いうなれば、赤穂浪士の中で、討ち入りに参加しなかったものの末路としてこじつけられたのだ。ただし、初演こそ「仮名手本忠臣蔵」と交互に上演されたものの、再演以降は単独での上演となり、いまでは「東海道四谷怪談」は、独立した歌舞伎として演じられることが多いのだ。」

悠「死んでねぇだろ。あと、ちょっとカッコいいじゃねぇか、妖怪殺し」

摩耶「神殺し」

悠「ダグザに生きかえらせてもらわないと」

サタン「噛み殺し?」

悠「それ怖い」

千世子「記録では、疱瘡わずらいの醜女とされていたお岩さんだが、映画やドラマ芝居などでは、その時代を代表する美人女優が演じることが多いのだ。しかも、敵役である伊右衛門もハンサムな男優が演じることが基本なのだ。いわば美人と美男の組み合わせによる買い゛ん話の代表格が、この「四谷怪談」だといえるのだ。美しく、控えめな、日本女性の鑑のようなお岩さんが、奸計によって毒を盛られて顔が崩れていくのだ。しかも、死して後は怨念の塊とかして、次々に恨みのある人に死が訪れるのだ。しかし、なぜか最も憎いはずの伊右衛門にだけは、なかなか手を下さないのだ。それはかつて仲睦まじい夫婦だったと伝えられるお岩さんと伊右衛門が、そういう結末を望まなかったからなのだろうか。以上、お岩さんのじゅぎょーだったのだ。」
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