ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「台風は逸れたのか?」

摩耶「日曜がどピークらしいよ」

悠「ほほー、ならぱコロッケだな」

千世子「台風コロッケなのだ」

亘理『ハロウィンはスルー?』

【お岩さん】

千世子「1829年に発行された「文政町方書上」の中に書かれている話なのだ。大阪の陣もすでに過去のものとなり、江戸が京の都に変わって、日本の中心都市として確固たる地位を築き始めたころのことなのだ。左門町に住まう御先手組(今でいうSP)の与力、田宮伊左衛門は老境に入ったものの、未だ跡継ぎに恵まれず、一人娘の岩(いわ)も、既に21歳になっていながら、疱瘡を患って片側が潰れたようになった顔だったので、婿どころか、田家へ嫁にもいけずにいたのだ。」

悠「どうせ台風で飛んでいくさハロウィンも」

サタン「仮装してお菓子はもらえないのだ?」

悠「ガチ魔王がお化けの仮装してどうする。とりあえずエロイ格好を希望するっ!」

摩耶「建前と同時に欲望がたれ流れてるよ」

亘理『可愛い仮装とかがいいなぁ』

千世子「ところがある日に、そんな田宮家に朗報が入ったのだ。摂州浪人で31歳になるやもめ男が、婿入りしても良いと、同僚の媒酌人秋山某を通じて申し出てきたのだ。伊左衛門は、大いに喜び、浪人を伊右衛門と改名させて、田宮家に迎え入れたのだ。」

ペスト医師(累)「累はどんな仮装しても可愛いけどね」

悠「お前は今すぐ着替えろ」

KKK(リリス)「まったくね。」

悠「お前もだ」

亘理『なにあれ怖い…』

千世子「伊右衛門は、よく働く男で同僚の評判も良く、とりわけ同じ組の与力、伊東喜兵衛とは連日のように遊び歩く中となったのだ。しかし、毎夜のように伊右衛門は喜兵衛の家に出かけるのだが、その目的はどうやら喜兵衛の妾である琴との逢瀬らしく、帰りの遅い伊右衛門を、岩はただ待つだけの日々を送っていたが、夫の働きは申し分なく、特に気にしないまま時は過ぎていったのだ。」

摩耶「ペスト医師の仮面はともかくクークラックスクランっていうのはなかなかだね」

神姫「相変わらずギリッギリの物をぶっこむわね。」

悠「ギリギリセーフどころか完全アウトだけどな」

累「累は可愛いから何しても許されるのよ」

悠「その根性は嫌いじゃない」

千世子「しかしある日、伊右衛門は喜兵衛から琴が妊娠したことを明かされるのだ。喜兵衛はすでに51歳となっていたので、、このまま出産されては世間の目もうるさく、それなら琴と仲の良い伊右衛門に押し付けようと思ったのだ。伊右衛門としても、ひょっとしたら自分の子供かもしれないので、日ごろの恩も手伝って、喜兵衛の提案には承諾する旨を申し出たのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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