ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「さあさあ、あの悪魔ちゃんずの居場所を吐け」
メシシッ
千味「……」

悠「毎回毎回……おれの机と椅子にイタズラしやがって。お?しかも、やっちゃいけねぇナメクジを仕掛けるとはなぁ?落とし前をつけてやる。」
ググッ
千味「知らないね。」

摩耶「ナメクジはまずかったねぇ。」

サタン「椅子と机を窓の外にホントに投げ捨てたのは初めてだったのだ。」

【リリス】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。リリスはアダムとイヴが結ばれる前の妻だったのだ。しかし、夫婦の夜の営みの時にどっちが上になるかでもめ、神の名を口にするという禁忌を犯してエデンの園を去ったのだ。」

神姫「そして犯人は逃走して身代わりは口を割らずにつるし上げられ中」

摩耶「盛り上がってきたね。」

亘理『あわわわっ』

悠「あくまで言わないか。いいだろう。じゃあ最後に言い残したいことは有るか?」

千味「こういうときのセリフはいつも一つだって決めてるんだ「くそくらえ」。」

千世子「その後、アダムは自分の肋骨から新たな女イヴを作り再婚したのだ。そして二人の間には多くの人間が誕生したのだ。一方、各地を転々としていたリリスは、蛇に化身してイヴを誘惑したアスモデウスや、その他もろもろの悪魔たちと関係をもって、無数のリリン達を産んだのだ。リリンは生まれたばかりの子供たちを食べ、男たちを誘惑したのだ。」

累「待って!」

千味「まさか…嘘っ…累…!助けに来てくれたの…?そうだよ!やっぱり累は天使…」

累「リリスちゃんがポテチとコーラ持ってくるからそれからじっくりと殺して!」

千味「…天使だったんだ!」

悠「無理すんな」

千世子「人間たちが困っていることを知ったアダムは、神にリリスを連れ戻してほしいと願い出たのだ。神は、3人の天使を使者としてリリスのもとに遣わし、天使はエデンの園に戻らなければ、毎日100人のリリンを殺すと脅したのだ。しかし、リリスは永遠にアダムとイヴの子供を餌食にしてやると言い放った。こうして、リリスの子リリンとアダムとイヴの子供である人間は、永遠に敵同士となったのだ。もし、リリンに襲われたときには、3人の天使を召喚すれば助かるというのだ。」

千味「無理などしていない!なぜならこれは敗北ではないのだから!!私が死んでも次がいる!私の師は次の勝利のために!次の次の勝利のために!すべては累の勝利のために!!」

累「みーちゃんってホントちょろくって累助かっちゃう。」

摩耶「尊い犠牲かな」

神姫「使い捨ての盾でしょ」

亘理『止めよう、ねぇ、止めようよ』

千世子「リリスは紀元前に著述された「ギルガメッシュ叙事詩」にその名前が見られる妖女なのだ。夜の魔所とも呼ばれ、男の子を持つ母親たちに恐れられていたのだ。リリスは、その後バビロニアに渡り、夜を徘徊する吸血鬼としての性格を与えられたのだ。そしてバビロン捕囚によって多くのユダヤ人がバビロニアへ移動すると、リリスもユダヤ人の伝説に付け加えられるようになったのだ。ユダヤ人にとっても、大切な跡取りである男の子だけを襲うリリスは恐怖の存在だったのだ。」

悠「いいやこれは敗北だ!なぜなら次もその次も、山が砂粒に変わるほどの時が流れてもお前たちに勝利など訪れないからだ!!しからば恐れよ!おれの名を!!小鳥遊悠の音を畏怖とともに刻めっ!!」

神姫「こっちはこっちで変なスイッチはいってるわね。」

リリス「ポテチ持ってきたよー」

累「食べる?のり塩」

悠「それは食べる!!」

摩耶「勝者コイケヤ」

千世子「その後キリスト教が成立すると、リリスは聖書にまで登場するようになったのだ。しかし、そこでもやはりリリスは魔女であり、子供を襲う妖怪だったのだ。リリスがアダムの前妻とされるようになったのは、中世になってからなのだ。以上、リリスのじゅぎょーだったのだ。」
90/100ページ
スキ