ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なんかもう頭痛い」

摩耶「ロキソニンあるよ。」

悠「マジ?」

摩耶「しかも、Sプレミアム」

悠「高いほうだな。」

【乙姫】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。「丹後風土記」によると、丹後の漁師浦島太郎は、ある日、船上で釣りをしていると一匹の亀を釣り上げたのだ。しかし、万年生きる亀を殺しては可哀想だと感じて、そのまま海に放してやったのだ。」

神姫「その薬持ってるってどこか痛いの?」

摩耶「ううん、でも、いつなんどき体がおかしくなってもいいように常備してるの」

悠「転ばぬ先の杖」

摩耶「まぁ、痛み止め程度で済む状況だとは限らないんだけどね。」

千世子「数日たち、太郎の家にひとりの美女がやってきたのだ。彼女はある姫君の使いできたといい、先日亀を助けてくれたお礼をしたいと申し出たのだ。どうやら位の高い人のお召しに違いないと、漁師の太郎は使者の女について船で海へ漕ぎだし、どこかの島の大きな宮殿にむかえられたのだ。そこで彼を待っていたのは絶世の美女で、その宮殿の姫だったのだ。」

悠「痛み止めの最高峰といえばザヤクだけどな」

亘理『……』

悠「なんじゃいその目は!嘘はついとらんぞい!!」

摩耶「確かにそうだけど座薬は常備できないし、溶けるし」

亘理『そうなの?!』

千世子「太郎は、姫と結婚して、時を忘れて楽しんだが、あっという間に3年が経ち、国に残してきた両親が心配になったので、姫に帰りたいと申し出たのだ。そのとき彼女は、助けられた亀が、実は自分だったと明かし、絶対に開けないことを太郎に誓わせたうえ、玉手箱を渡して太郎に送り返したのだ。」

悠「座薬は冷蔵保存が基本だぞ」

神姫「薬は冷蔵保存のものも多いからね。」

亘理『そうなんだ。わたし、薬飲まないしなぁ』

摩耶「さすが妖怪」

悠「夜は墓場で運動会だな」

千世子「懐かしい浜辺に辿り着いた太郎は、自分の家を探すが見つからないのだ。近くの村へ行き事情を聞くと、既に両親は亡くなって何年も経っているというのだ。古びた塚にしか見えなくなっている両親の墓参りをした太郎は、夜をはかなんで玉手箱を開けてしまったのだ。すると箱の中から三筋の煙が上りたち、太郎は鶴に変わって、いずこへと飛び去っていったのだ。」

累「墓石でドミノしよう」

リリス「卒塔婆でチャンバラごっこ」

悠「呪われろ。」

摩耶「呪いが逃げそう」

サタン「気合で吹き飛ばせるのだ」

千世子「日本昔話の代表的な説話「浦島太郎」は、古くは「丹後風土記」や「万葉集」にその記述がみられるのだ。しかし、乙姫の名前が登場するのは、江戸時代の御伽草紙版「浦島太郎」からと言われているのだ。しかし「風土記」などの記述を見ても分かるように、もともと史実、あるいは伝説だったものが、時代を下りファンタジー、おとぎ話へ変化したようなのだ。」

悠「あいつらを本格的にどうにかできる方法はないものか」

摩耶「同じくらい頭のおかしいやばいやつをぶつける」

悠「それ、貞子VS伽椰子っていうのでオチ知ってる。手のけられない化け物が爆誕するんだ。」

神姫「ひとつにまとまるならそれはそれでいいんじゃないかしら?」

悠「……究極の選択だな」

千世子「玉手箱のように「見てはいけないものを見る」禁忌としては「古事記」などに記述のあるワニの姿で出産し、その姿を夫に見られた豊玉毘売神(トヨタマヒメ)の事故が思い出されるのだ。女には、男に見られてはいけないものが沢山あるのだ。以上、乙姫のじゅぎょーだったのだ。」
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