ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/23/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「あー…晴れた日はぬくぬくしてて良いけど……まだ、雨や雪が降ると寒いな。」

摩耶「悠くんは特に寒さに弱いからね。」

悠「雨は好きなんだけどな。」

花描「あぁ、それで摩耶君を膝に乗せてるのか。」

悠「すげぇぬくい。」

神姫「何してるんだか」

千世子「それじゃあ、今日のじゅぎょーはこれなのだ」

【天候制御】
天気をめぐる神との駆け引き

花描「雨乞いとかか」

千世子「天候制御とはその名のとおり、天気を自由自在に操る術なのだ。いま、花描あんちんがいった「雨乞い」は農耕民族だけが行う儀式という印象が強いのだ。狩猟民俗たちも雨乞いは行っているのだ。逆に、沿岸部の漁猟によって発展した地域などでは、雨乞いとは逆に、雨や嵐をおさめる儀式があるのだ。」

悠「ウェザーリポート使えばいっぱつさ」

摩耶「久々にジョジョネタ来たね。」

悠「ウェザーリポートは天候だけでなくカタツムリにも出来るからな。」

神姫「続けてくれる?」

千世子「文明の十分に発達していない時代、天候の良し悪しはそのまま人間の生活に直結していたのだ。昔はすべての人が天候制御の術を必要としていたのだ。ドルイド、ウィッチ、方術師、陰陽師、オウンガンなどなど……ほとんどすべての魔術師たちが、天候制御の術だけは心得ていたといっていいのだ。」

花描「ふむ、つまり逆をいえば世界中の誰もが天候制御を望んでるから、魔法使いたちもその期待に答える必要があったんだな。」

千世子「日本では全国的に「竜神信仰」という思想が存在するのだ。川や海の近くに棲んでいる「竜神」西洋のウンディーネに相当する水の精霊の機嫌ひとつで雨が降ったりやんだりするのだ。」

悠「神姫、あったかい肉まんとか食いたくないか?」

神姫「私が竜神なら今すぐに大雪にするわ。」

悠「ぴいぃ」

千世子「ギリシャ神話では、女神アルテミスを怒らせたせいで嵐が続いてしまい、ギリシャ軍が出航できなくなってしまうエピソードがあるのだ。」

摩耶「雨ひとつで戦局は大きく変わるしね。」

千世子「このように、世界中の多くの地域で「神が怒ると雨が降る」と考えられてきたのだ。雨乞いの儀式は「神にお願いして雨をふらせてもらう」といったスタイルが一般的なのだ。しかし、神の性格(?)を利用して「神をわざと怒らせることによって嵐を呼ぶ」といったスタイルも、世界中で広く採用されているのだ。」

摩耶「神は短気なんだね」

悠「でかい力を持つ奴ほど器は小さいのかもな」

神姫「なに…?今の私にいったの?」

悠「ち、ちゃうわい!」
28/100ページ
スキ