ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「真面目な話さ、累とリリスが一緒にいるのが駄目な気がするんだ。」

累「つまり?」

累「悪影響を与えあってる。」

摩耶「悪い奴の友達は悪いやつ的な」

累「一理あります。」

リリス「強盗に万引きを責められてる気分だわ。」

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。前回の続きからで般若(はんにゃ)とは、サンスクリット語からとられた仏教用語のひとつで、智慧を表す言葉なのだ。この般若の智慧をさとりの境地として、すべての智慧の最上位に置いたのだ。それがいつしか日本では、鬼女や嫉妬深い女の怨念の姿を現すように変貌していったのだ。」

累「でもね、リリスちゃんはとても楽しそうにひとの心を踏みにじるのよ」

リリス「やだもー!累ちゃんたらーっ!きゃ~♪」
パァン!
ゴキッ!
累「あの累ちゃんの身体は生粋の魔族のツッコミに耐えられるようにできてないからね。骨2.3本いったからね」

摩耶「綺麗に骨の逝く音がしたね。」

悠「ごめんなー。おれ、今何を褒めてどこに照れたのかぜんぜんわからなかった。」

千世子「「源氏物語」の六条御息所(ろくじょうのみやすところ)にも、般若は深くかかわっているのだ。ここで語られた「鉄輪」の話は、京都に言い伝えられている鬼女の伝説で、「源平盛衰記」や「平家物語」などにも記載され、その後謡曲「鉄輪」としてまとめられたのだ。」

葛葉「要約すると累のおっぱいは葛葉さまがもみしだくということが正解でオッーケー?」

累「あ、鼠だ。殺さなきゃ」

悠「自ら死地に赴くとはなぁ」

神姫「キリストを思わせる献身性ね。」

亘理『はい、あだたんは耳をふさいで目を閉じていようね。』

千世子「謡曲の「鉄輪」では、毎晩呪詛する前妻のために男が悪夢にうなされるようになり、陰陽師に原因を探ってもらうと、件の前妻の仕業と判明するのだ。そこで当代随一の陰陽師、安倍清明に助けを求めるのだ。」

葛葉「いいんだ……私は生きたいように生きる!例え死地に御向こうとも!さぁ、とくとみよ!この葛葉さまの死にざまを!!」

婀娜「あっ!ダンゴムシ!」

リリス「まあきもちわるーい」

スキュラ「どこかからはいってきたのですね。」

サタン「この校舎は風通しが良すぎるのだ」

葛葉「うわ私の死にざまダンゴムシ以下」

千世子「そして、清明の祈祷が功を奏して、前妻の呪いは解けて、鬼が消えるという筋書きになっているのだ。ここで前妻を能で演じるときに般若の面が使用されることがあるのだ。般若の顔は、嫉妬深い女の顔を代弁するという、共通認識があればこそだろうなのだ。」

悠「おい、やるんなら外でやれよ」

ベヒモス「止めるつもりは毛頭ないみたいモス」

悠「正直悪魔ちゃん達よりも系統が違うが後楽と同じ気配を持つ奴を助けたくないんだよなぁ」

葛葉「心は汚れていても股間は純潔!葛葉です!」

神姫「黙らせて」

累「イエッサー!」
リリス「イエッサー!」

千世子「しかし、女の嫉妬心は怖いという話がいつの間にか安倍晴明の力の偉大さを宣伝するような内容に変えられてしまっているのはご愛嬌だが、伝説になるほど女の嫉妬が怖いというのは、洋や東西の時代の新旧は関係ないということだろうかなのだ。以上、般若のじゅぎょーだったのだ。」
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