ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「昨日は凄かったな」

亘理『めちゃくちゃ雨降って大変だったよ』

摩耶「校舎自体が吹き飛ばなくて良かったよね」

悠「ははっ。ゴクッ…うっ」

千世子「どしたのだ?」

悠「誰だぁ。おれの缶コーヒーに塩をめちゃくちゃ入れたやつは」
ガシッ!ガシッ!
累「私じゃないわ」
リリス「私も違うわ」

【般若】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。京都に都があったころの話なのだ。下京に住む男が、女房を捨てて新しい女と所帯を持ったのだ。女房がものすごい癇癪持ちで、嫉妬深かったので、それに辟易した男が耐えきれなくなり女房を捨てたのだ。」

悠「でぇい!」
ゴスッ!ゴスッ!
累「ぎゃっ!」
リリス「ぎゃっ!」

摩耶「ヘッドソバットがいい切れ味」

サタン「ヘッドソバットなのに切れ味なのだ?」

神姫「そういうのはいいのよ」

千世子「前妻は、自分を捨てた男を強く恨んだのだ。そして、比叡山のふもとで、男の足でもそう易々といけないようなところだが、霊験あらたかと評判の貴船神社へ、欠かさず通い詰めて、男への恨みを晴らすための願をかけ続けたのだ。」

悠「ああ、くそ、口の中が変な味だ」

婀娜「はい、消臭剤」

悠「お口の臭いが変じゃない。あと、部屋に置くタイプの消臭剤をどうしろというんだ!」

婀娜「いい香りだよ?」

悠「ダメだ話が通じない。」

千世子「ある日、いつものように神社へ行くと「頭に鉄輪を乗せて、その三本の足にロウソクを末、火を灯して、顔に丹を塗り、赤い着物を着て、強く恨みを持てば、きっと願いが成就するだろう」と信託があったのだ。女は、その日から言われた通りの装いをして、神社に日参することにしたのだ。その姿を見るものがあれば、まさしく鬼気迫る形相を目の当たりにすることだろうなのだ。」

累「話が通じるやつがいると思ってるの?」

悠「……確かに」

神姫「だったら肉体言語で話せばいいじゃない」

悠「その拳を叩きこめぇ!」

累「オラぁ!」
ゴッ!
悠「ぐぇっ!?」

千世子「こうして女は毎夜遠い道のりを汽船神社へ通ったのだ。まさに周年と怨念のなせる業だろう。しかし、あと一日で大願成就という日、ろさしも前妻も疲れ果てたのだろう。近くの井戸の側に倒れこんでしまい、そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。」

累「やったぜ!」

リリス「やったぜ!」

悠「こ、このクソがきゃぁ!!」

摩耶「悠君、落ち着いて、ほら、深呼吸して」

葛葉「ひっひっふー」

悠「ひっひっふー、ひっひっふー……あれ?」

千世子「近所の人々は、さすがに女を哀れと思ったのか、頭から鉄輪を外して塚を築き、そこに供養したというのだ。この話は京都下京区の鉄輪井戸の伝説として伝わっているのだ。今日はここまでで続きは次回なのだ。」
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