ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なんかどってりしたハクスラしたいわぁ」

摩耶「ロッテリア?」

悠「どってり」

亘理『どってりってワードを初めて聞いた気がする。』

悠「こってりはよく聞くだろ。それのさらに上だ。」

【女媧】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。「酉陽雑俎(ゆうようざっそ)」による唐の時代の出来事なのだ。玄宗皇帝の子の粛宗皇帝が、安禄山の反乱を避けて都落ちしたとき、媧州、今でいう河南省あたりに仮の御座所を設けていたのだ。」

悠「ところでさ、おれの机の角にカッターの刃が仕掛けられてるんだが」

累「……」
リリス「……」

悠「黙ってても犯人はお前らってわかるからな!!」

累「ぺっ」

リリス「チッ」

悠「態度わりぃ!!」

千世子「ある日、御所に鯉を二匹持った婦人が現れて、皇帝への面会を申し出てきたのだ。門番は、この婦人を怪しみ、門から中へ入れなかったのだ。」

サタン「よく気づいたのだ」

悠「たまたま手を伸ばした先に冷たいモノが降れて気付けたんだ」

累「今度は全方向に触れば切れるようにしとかないと」

リリス「糸鋸とかのがいいんじゃない?」

千世子「あまりに会わせろとうるさいので、門番は夫人に近づいてこらしめようと思ったが、そのとき婦人の腕にウロコが生えているのが見えたのだ。その瞬間、とつじょ雷鳴が轟き、空がにわかに暗くなってしまったのだ。しばらくして、ふたたび明るさが戻ったときには、その婦人は跡形もなく消えていたというのだ。」

悠「次から机と椅子を毎回蹴り飛ばさないとダメかもしれない」

神姫「もう自分用の椅子と机、毎回運びなさいよ」

摩耶「簡易テーブルと椅子でいいね」

悠「あれ、めっちゃギシるんだよな」

葛葉「ギシアン?ギシギシアンアン?」

千世子「ようやく都の乱も収束して、皇帝は都に戻ると、媧州の長官から、伝説の女媧の墓について、絵図を添えて奏上があったのだ。大雨の後、仮の御座所にほど近い黄河のほとりに巨大な二本の柳が生えて、その下に墓石があるのが発見されたというのだ。だとすると、あのときの婦人は女媧その人だったのではないかと、当時を知る人は噂したというのだ。」

悠「お前は友利よりも程度が低い気がする。」

葛葉「誰かは知らないが私は鼠妖怪界の鬼才だぞ?」

摩耶「鼠なのに鬼とはこれいかに」

葛葉「そしてすかさずパイタッチ!」
スパンッ!
亘理『わひゃっ!?』

悠「猫の餌になればいいのに」

千世子「女媧は古代中国をおさめた三皇五帝のひとりで、蛇身人首の異形をしているのだ。中国初代皇帝の伏犠の妹で妻としても知られているのだ。女媧は、最初は兄妹で結婚することに躊躇したのだ。そこで彼女は「木の周りをまわって、私を捕まえられたら結婚しましょう」と考案したのだ。初めは二人とも同じ方向に回っていたが、復帰が立ち止まって逆に回ったため捕まってしまい、約束通り妻となったのだ。これに類する話は日本の「古事記」にもあり、東洋の天地創造話のルーツと言われているのだ。以上、女媧のじゅぎょーだったのだ。」
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