ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「なんだろ。目がかゆい」

摩耶「毒かな」

悠「!!」
バッ

累「まだ何もしてないわよ」

悠「まだ、っていうんじゃない!」

【イシス】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。エジプト神話によるとイシスは、大地神ゲブと天空神ヌトの娘であり、砂漠神セトと夜の女神ピュテスの姉にして、兄オシリスの妻なのだ。近親婚がとうぜんだったエジプトのそれも神話での話だが、人間関係がややこしいのだ。」

累「つまり今すぐ殺れ……と」

サタン「即殺なのだ」

悠「ちげーわ!」

摩耶「有言実行かな」

悠「いいことだけど、今は違う」

千世子「セトは、わずかな差で長男となり、エジプトの王となったオシリスをうらやんでいたのだ。そこでセトは、無謀を巡らせてオシリスを欺き殺してしまい、オシリスの入れた木棺に、隙間から鉛を流し込み広大なナイル川へ流したのだ。」

葛葉「触ったと考えた時には、既に触っている!」
たゆんっ!
亘理『もう悲鳴も出ない』

神姫「慣れって怖いものね。」

葛葉「ハハハッ、じゃあ遠慮なくもみしだいていいということだね!」

神姫「……」
ピッ、ズドンッ!
葛葉「くぎゃぁっ!」

千世子「夫が居なくなったことを嘆くイシスは、得意の魔術を駆使して、オシリスの木棺を発見し、秘密の場所に保管したのだ。夫との間に子供がなかったイシスは、このとき夫の精を手に入れて、太陽神ホルスを生んだというのだ。」

摩耶「気がついた時には既に潰れている。」

神姫「殺られる前に殺るじゃないのよ。思い浮かべる前に殺っておくの。」

悠「「ブッ殺す」…そんな言葉は使う必要がねーんだ。なぜならオレやオレたちの仲間はその言葉を頭の中に思い浮かべた時には!実際に相手を殺っちまってもうすでに終わってるからだッ!だから使った事がねぇーッ!「ブッ殺した」なら使ってもいいッ」

摩耶「プロシュート兄貴」

千世子「しかしセトは、オシリスの棺が発見されたことを知るや、そのありかを探しだし、二度と復活できないよう、14の部位に切り分けてバラバラにしたオシリスの遺体をナイル川に流したのだ。」

累「やっぱり神姫姉貴はサイコーだなぁ」

神姫「……」

悠「媚び売りの速さに脱帽だわ」

リリス「長いものには巻かれるっていいことだと思うの」

摩耶「まかれて絞殺されることもあるけどね。」

千世子「ふたたび夫の遺体を失ったイシスは、パピルスで出来た船でナイル川を探索するのだ。そして遺体の全ての部位を見つけ出すと、強力な魔術でつなぎ合わせ、包帯でぐるぐる巻きにしたミイラの姿で復活させたのだ。こうして、オシリスは冥界の王となったのだ。」

亘理『ニシキヘビか何かかな?』

悠「ムツゴローさんみたいに絞められても笑ってないとな」

リリス「泣いたり笑ったりでき無くしちゃうわよ♪」

累「死ぬまでメロディ(悲鳴)を奏でて♪」

悠「助けて神姫さん!」

千世子「イシスは、太陽神ラーから力を奪って、シリウス星になったという伝説が残されているのだ。この伝説では、イシスはラーの娘となっていて、ナイル河畔のサイスにあるイシス神殿には、イシスの言葉として「わが面布を掲ぐる者は語るべからずものを見るべし」という真理を表す表現とされる碑文が刻まれているのだ。」

神姫「自分でどうにかしなさい」

摩耶「「成長しろ」!悠「成長」しなきゃあオレたちは「栄光」をつかめねえ。ブチャラティたちには勝てねえ!」

悠「ぷ、プロシュート兄貴…」

亘理『今日は兄貴がよくでるなぁ』

サタン「っていうか誰なのだ」

千世子「家族に対して決して優しい妻・娘とは言い難いイシスも、息子ホルスに対しては慈悲深い母としての側面が強調されているのだ。幼児の姿をしたホルスに授乳するイシス像は、後世のキリスト教における聖母マリアへ影響を与えたといわれているのだ。以上、イシスのじゅぎょーだったのだ。」
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