ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「暑いのか寒いのかわからん天気だな」

摩耶「曇ったり晴れたり風吹いたり吹かなかったり」

累「血の雨を降らせましょう」

悠「やめろバカ野郎」
グリグリッ
塁「……兆倍にして呪ってやる。」

悠「小さく呪詛を吐くな」

【天探女】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。「日本書記」にある話しである。天孫降臨の少し前の話。地上を統括するために、高天原から派遣された天穂日神(アメリホヒノカミ)は、三年経っても実績を出せなかったのだ。それどころか、天穂日神は地上を支配する大国主の家来になってしまったのだ。そこで高天原では、新たに天稚彦を地上につかわすことになったのだ。ところが天稚彦も、大国主の娘下照姫(シタテルヒメ)と結婚してしまい、そのまま八年が経ってしまったのだ。天稚彦は、大国主の家督を継いで、自分が地上の王になろうと考えたのだ。」

累「神姫さーん、あの前髪お化けがいじめるんですー」

摩耶「そして強者に泣きつく」

リリス「累は強い者に媚びを弱いものを虐げるプロよ」

亘理『なんて嫌なプロ…』

葛葉「そして私は乳首をピンポイントにつつくプロ」
ぷすっ!
亘理『みぎゃ///!』

Q子『!!』
ジュバババッ

千世子「地上へ派遣した神が、またもや戻ってこない事態を憂慮した高天原は、天稚彦に奮起を促すために、雉鳴姫(キギシナキメ)を使わして使命を早く果たすように催促することにしたのだ。」

摩耶「おっと、どこからか淫霊も寄ってきたね。」

悠「膝蹴り&回し蹴り」
ドゴッ!
葛葉「ゲフッ!」
スカッ!
Q子『わーいたーい』

神姫「ここぞとばかりに幽霊のメリットをフル発揮してるわね。」

千世子「地上へ降りた雉鳴姫は、天稚彦の家の門にある、桂の木の枝に止まって、天稚彦に高天原からの伝言を伝えようとしたのだ。ところが、それを見た天探女(アメノサグメ)が「奇妙な鳥が木に止まっているぞ」と、天稚彦に告げ口したのだ。雉鳴姫が高天原からの使者だと察した天稚彦は、野心を隠すために雉鳴姫の口を封じる決心をして、弓矢で射殺してしまったのだ。」

神姫「少し静かにしなさいよ」

累「オラァ、静かにしろとおっしゃってるぞ!」

リリス「騒いでる奴は足の裏の肉を少しずつ削いでいくぞっ!」

摩耶「拷問かな?」

神姫「一応言っとくけど私の意思ではないからね。」

千世子「雉鳴女の胸を貫通した矢は、そのまま高天原まで飛んでいき、高皇産霊(タカミムスビ)の御前に刺さったのだ。高皇産霊は、矢を見て「これは昔、天稚彦に与えた矢ではないか。しかも、矢じりに血がついている。そうか、天稚彦が地上で戦っているのだな」と言って、天稚彦に矢を返すつもりで地上に投げ返したのだ。すると、その矢は邪心を持って弓を引いた天稚彦に直撃して、天稚彦は死んでしまったのだ。」

亘理『あれ?そういえば婀娜ちゃんは?』

スキュラ「1時間ほど前は恋大根をおって走り回ってましたね。」

悠「どっかで迷子になってるんじゃね?」

亘理『迷子って……』

神姫「ありえるわね。」

千世子「天稚彦を堕落させたのは、本人の意思に違いないのだ。しかし、高天原と決定的に袂を分かち、それによって死ぬことになったのは天探女の言葉に乗ってしまったからなのだ。」

亘理『いや、いくらなんでもそこまでは』

悠「精神年齢地べただぞ?」

サタン「首輪着けといた方がいいのだ」

累「あるよ。」

リリス「時限爆弾付きのやつね。」

悠「しまえ、いや、捨てろ。」

千世子「天探女が訛って「天の邪鬼」になったといわれているが、このように相手の欲や心の弱みに付け込んで悪戯をしたため、邪鬼の仲間にされてしまったのだろうなのだ。以上、天探女のじゅぎょーだったのだ。」
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