ー奇談ー學校へ行こう2

ー教室(3/21/夜)ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業がはじまろうとしていた。

悠「ふん♪ふん♪」

摩耶「なぁにしてんの?」

悠「嫁コレ~」

摩耶「なにそれ?」

悠「アプリだよ。禅に入れてもらった。」

神姫「携帯出ないくせにアプリはするのね。」

悠「残念。これはiPodtouchだ。」

花描「スマホ持ってたよな?」

悠「おれにスマホは猫に小判さ…」

千世子「悠のあんちんは通話機能が故障してるのが解ったところで、今日のじゅぎょーなのだ」

【召喚魔法】
ソロモンから始まった召喚術

悠「やはりテュポーン」

摩耶「リヴァイアサンかな」

花描「オーディンだな」

神姫「バハムートでしょ」
千世子「この世ではない別の世界に住む者を、この世に呼び出す術。それが「召喚魔法」なのだ。メディウム(シャーマン)たちの「降霊」の儀式も召喚の一種なのだが、彼らは実体を持たない霊しか呼び出せないのだ。」

悠「……」

摩耶「どうかした?」

悠「いや、手を叩けば…デコくらいなら召喚できるかもしれん。」

神姫「私は悠も召喚出来るわよ。」

悠「出来ません。されません。」

千世子「ただ今回のじゅぎょーの召喚魔法は、実体を持った精霊やモンスターを召喚する術を含むのだ。歴史上に存在した召喚魔法でもっとも有名なものは、古代イスラエルのソロモン王が著わした「レメゲトン」に登場する悪魔召喚なのだ。」

摩耶「レメゲトン?」

悠「三つの頭を持つ蜘蛛の悪魔バールをはじめとする全七十二種の悪魔と三十一種の精霊の召喚方法が紹介されている本だよ」

千世子「レメゲトンによれば、魔術師自身がマジックサークルの中に入って儀式を行ない、マジックサークルの外に悪魔や精霊を召喚するのが、一般的な召喚儀式のスタイルとされているのだ。」

花描「マジックサークル内じゃなく、外側のほうか」

千世子「レメゲトンには、マジックサークルの具体的なデザインが多数掲載されていることもあり、その後すべての魔法使いに多大な影響を与えたと言われているのだ。」

摩耶「じゃあ漫画とかでも見そうだね」

千世子「ソロモン王の著書から多大な影響を受け、召喚魔法を積極的に研究したのが、19世紀イギリスの秘密結社「黄金の夜明け団」なのだ。彼らは、「神や天使といった高貴な存在に対してこちらに来てもらうよう悲願する儀式」を召喚魔法、「悪魔など下等な存在に対して、こちらに来るように懇願する儀式」を喚起魔法というよう、厳密に言葉を使い分けていたのだ。」

神姫「それで黄金の夜明け団はどうなったの?」

千世子「内紛、分裂を繰り返しつつ二十世紀以降まで活動を続けていたのだ。しかし、彼らが召喚(喚起)魔法に成功していたのかどうかは謎なのだ。以上、召喚魔法のじゅぎょーだったのだ」
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