ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「小腹がすいた」

摩耶「またカレー飯?」

悠「いや……ガッツリ肉食いたい」

神姫「それ、小腹を満たすもんじゃないでしょ」

悠「えへっ♪」

【サロメ】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。古代イスラエルを支配したヘロデ大王は、ローマ帝国の権威を背景に、ますます富み栄えたのだ。しかし、大王の後を継いだ4人の息子には、王位を名乗ることを許さず、領地を4分割してそれぞれを支配させた。」

亘理『可愛い』

神姫「くない」

悠「もっと可愛いと思ってくれてもええんやで?」

神姫「ゾウリムシぐらいには可愛いわ」

悠「顕微鏡でしか見れない。つまり逆に貴重!!」

千世子「4兄弟のうち、ガラリアを領地としていたヘロデ・アンティパスには妻が居たのだ。妻の名はヘロディアという、もとはヘロデの異父兄の妻だった女なのだ。そして、ヘロディアには、前夫との間にひとりの娘がいたのだ。その名を「サロメ」といったのだ。」

神姫「そのポジティブ加減が病的で怖いわ」

摩耶「そのぐらい神経が図太くないとこんな人間(?)にはならないんだよ。」

悠「(?)は不要じゃないですかねぇ」

亘理『(笑)?』

サタン「(爆)なのだ」

千世子「このように兄弟で同じ妻を娶ったことから、ヘロデは洗礼者ヨハネに姦淫の罪を指摘されてしまったのだ。洗礼者ヨハネは、ヨルダン川でイエス・キリストに洗礼を施したことで知られる預言者なのだ。怒ったヘロデはヨハネを捕えて、地下深くの牢に閉じ込めたのだ。しかし、姦淫の罪という辱めを受けたヘロディアは、東国だけでは気が休まらず、ヨハネの死を求めたが、ヘロデはそれを許さなかったのだ。」

悠「()はいらん!ところで犬の足が生えた苔泥色の魚を見たんだけどどう思う?」

神姫「普通なら心の病気だと思うわ」

摩耶「あれじゃない?」

犬魚『ゲッゲッゲゲッ』
ドダダダッ
恋大根『……』
ドタタタッ

悠「……あ、コワイ」

千世子「その年も、ヘロデの誕生日の祝宴が張られ、そこでサロメが見事な踊りを踊って見せ、ヘロデは大いに喜んで、彼女に何でも好きな褒美を与えようとしたのだ。サロメは「洗礼者ヨハネの首を盆に載せて、私にください。」といったのだ。ヘロデは人々が見守る中で約束したことをたがえるわけにはいかず、獄使に命じて、ヨハネの首を持ってくるように命じたのだ。サロメは、盆に載せたヨハネの首を受け取ると、それをヘロディアに渡したのだ。」

亘理『廊下っていろんなものが走ってるよね。私はこの前ボーリング玉より少し小さいくらいのサイズの卵から足が生えたのが走ってるの見たよ』

神姫「私は段ボール箱から蟹みたいな足の生えたのが走ってて廊下が突然割れて飲み込まれるのを見たわ」

悠「飲み込んだのか?」

神姫「バクッとね。」

摩耶「その手のモノノ怪が氾濫しないのは定期的に校舎が捕食してるんだね。」

千世子「その後ヘロディアはヘロデが王位を持っていないのを不満に思い、ぜひ王位を手に入れるようにヘロデにすすめたのだ。ヘロデは、ローマ皇帝カリギュラに、父のような王位を与えてくれるよう上奏したのだ。しかし、このことがヘロデに破滅をもたらすことになったのだ。王位を望む者は、さらにその上に臨むかもしれない。ヘロデの野心を危ぶんだカリギュラ帝は、ヘロデの追放を決定したのだ。」

悠「それ考えたら走り回っててずっと生き残ってる恋大根はレベル高いな」

摩耶「壁とか走って避けてるんだろねきっと」

神姫「考えると校舎から沈んだり出たりしてる亘理はよく食べられないわね。」

亘理『ひへっ?!』

悠「校舎と融合しきってるから吸収されるされないじゃなくて既に一部なんじゃね?」

千世子「こうして、ヘロデも、その妻のヘロディアもガリアへ流され、ヒスパニアの地でその生涯を終えたというのだ。これらは「新約聖書」や「ユダヤ戦記」に記述されているのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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