ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「ドラクエ買おうかー。どうしょっかなー。」

神姫「好きにしなさいよ」

悠「神姫を?」

神姫「……」
がっ!ごぉん!
悠「ぐぇっ!」

摩耶「頭を掴んで叩きつける。高威力技。」

【かぐや姫】

千世子「今の静岡県富士市が駿河国富士郡と呼ばれていたころに、その近辺で伝えられた話なのだ。」

悠「超痛い」

亘理『割と平気そう』

悠「だろ?けどな、首がめっちゃ痛いから動けないんだぜ?」

摩耶「今ならやれる」

悠「やめてつかぁーさい。」

千世子「一般に知られている「日本昔話」と少し違うが、おおもとの伝承なのかあるいはバリエーションなのか定かではないのだ。」

神姫「くだらないこと言うからよ」

悠「夏の暑さのせいだ」

サタン「関係ないと思うのだ」

千世子「富士山のふもとの姫名郷に、竹取の翁と媼が住んでいたのだ。ある日いつものように翁が竹やぶへと行くと、1本の竹の根元が光っていたのだ。翁は不思議に思いながらもその竹を切ると、中から一寸ほどの女の子が現れたのだ。翁と媼には子供がいなかったので、それはたいそう喜んでかぐや姫と名付けて大切に育てたのだ。」

悠「お前は涼しそうな格好してるからそら暑さは平気だろうな」

サタン「というより地獄の業火に比べたらぜんぜんなのだ」

悠「なんかすいません」

サタン「我は心が広いから許してやるのだ!」

悠「へっ!」

千世子「かぐや姫は成長するとともに美しい姫になり、姫名郷だけではなく、駿河中まで評判になっていったのだ。そして、その噂は国司の耳にまで届き、それほど美しい姫ならばとかぐや姫に求婚したのだ。国司との結婚はとても名誉なことで、翁も媼もその話に大賛成だったが、なぜかかぐや姫は、その申し出を断ってしまったのだ。一方、断られて、かえって引っ込みがつかなくなった国司は、今度は自ら姫名郷に赴き、かぐや姫を直接口説いたのだ。なかなか首を縦に振らないかぐや姫も、次第に国司の熱意にほだされて、それほどというならばと一緒に住むことを承諾したのだ。」

サタン「……」
メリメリっ
悠「頭がぱーんっすりゅー!」

摩耶「なんであのタイミングで鼻で笑うかな」

神姫「死にたがりなんでしょ」

悠「いきりゅっ!」

千世子「それから数年が流れた。かぐや姫と国司は、幸せに暮らしていたが、ある日のこと、突然、かぐや姫は国司に、自分は富士山の仙女で、富士山に戻らなければならなくなったと告げたのだ。急にそのようなことを言われても、国司は黙ってかぐや姫の帰山を許すわけにはいかないのだ。悲しみに暮れるかぐや姫は、黙って一つの箱だけを残して国司の元を去ったのだ。」

亘理『悠ちゃん、いつか本当に取り返しのつかないことになるよ?』

悠「マダダイジョウブダダヨー」

亘理『首がひん曲がってめっちゃ片言になってますけど?!』

摩耶「グキる?」

悠「……おぶっ!ふー、セーフ」
ぐキッ!

亘理『自分でやったー!?』

千世子「かぐや姫が去ったのを知った国司は、あきらめきれずに姫の後を追ったのだ。そして富士山の頂上に大きな池を見つけ、その奥にある宮殿へ入り、そこで姫の名を呼んだのだ。すると、かぐや姫は驚いた顔をして国司の前に現れたのだ。しかしその時には、かぐや姫はすでに人間ではなく、天女の姿になっていたのだ。もう絶対にかぐや姫の姿に戻ることはない、そう悟った国司は、世の中に絶望して、姫からもらった箱を抱えたまま、宮殿の前の池に身投げしてしまったのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」
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