ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「あたまいたたい…」

摩耶「かきこむからだよ」

悠「かき氷のだいご味……ですやん。かき氷、だけに!!」

神姫「そのドヤ顔にスプーン突き立てていい?」

悠「そんなB級ホラーで憑りつかれた人が錯乱してざっくりいくみたいなのやめてよー。」

【キジムナー】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。沖縄県は、明治時代初期まで「琉球王国」と呼ばれており、日本本土とは違った文化を持っていたのだ。もちろん琉球にも日本本土とは違う独自の妖怪が数多くいるのだ。キジムナーは琉球の妖怪の中でもとくに有名なひとつなのだ。」

悠「キジムナー!!」

神姫「叫ぶな」

悠「アッハイ」

摩耶「キジムナーからのサケブナー」

亘理『ポケモン的な何かかな?』

千世子「キジムナーには、きジムン、キムヤー、セーマなどたくさんの別名があり、沖縄全土に伝承が残っている妖怪なのだ。キジムナーは、ガジュマルという南国独特の木に住んでいるのだ。その姿は赤い髪や赤い顔をした子供に近く、長髪かつ全身が毛でおおわれているのだ。地方によっては、大きくて黒い姿をしているともいわれているのだ。」

悠「どっちかと言うと妖怪GOだろ」

摩耶「混ざってる」

悠「……ポケモンウオッチ?」

神姫「なんでちょっと考えたえでくだらない上乗せしたの?」

悠「男には自分の世界がある」

千世子「とにかく悪戯が大好きなのがキジムナーの特徴なのだ。赤土を赤飯だとだまして人間に食べさせたり、人間を木のウロなどに閉じ込めたり、眠っている人を押さえ着けて苦しめたり、夜道で灯りを奪ったりと、かなり悪質ないたずら者なのだ。」

摩耶「例えるなら?」

悠「空をかける一筋の流れ星」

亘理『ルパンザサード!?』

神姫「殴るわね」

悠「やめてクレメンス!」

千世子「しかしキジムナーと仲良くなれば、人間の漁や山仕事を手伝ってくれるのだ。特にキジムナーは漁が得意で、彼らと協力すると魚がたくさんとれるというのだ。だがキジムナーは魚の片目を食べるため、取れた魚は全て片目になっているそうなのだ。」

摩耶「殴られても背中で泣けばいいんだよ」

悠「男の美学」

亘理『なんでルパン押しなの?』

悠「ノリ?」

サタン「ルパンよりサタンのがいいのだ!」

千世子「キジムナーは火とも深い関係があるようで、漁をするときに火を灯して海上を行き来する習慣があるほか、旧暦の8月10日は妖怪日といって、キジムナーの火が出るといわれるのだ。また、原因不明の火をキムジナ火と呼び、この火が家の屋根から上がるのは死の前触れとされるのだ。」

悠「……」

神姫「私的には今のは面白かったわ」

悠「え?」

サタン「面白いとは言ってないのだ!」

悠「ええっ?!」

千世子「昭和以降の沖縄には、キジムナーの足跡を見るという遊びがあったのだ。薄暗く静かな場所に円をかき、白い粉を撒く。円の中心に火をつけた線香を立てて呪文を唱え、その場所から離れて20数える。戻ると粉の上に足跡がついてるのだ。」

摩耶「加熱した欲望は、遂に危険な領域へと 突入してきたね。」

悠「野獣が暴れそうだからやめてクレメンス」

神姫「つぎ、それ言ったら顎を斫る」

悠「そのうちおれ喋ることができなくなりそう」

摩耶「背中で語って」

サタン「泣いたり、語ったり忙しいのだ」

千世子「キジムナーとの付き合いが面倒になったら、儀式を行うとキジムナーとの縁を切ることができるのだ。だが、縁を切ったときに手痛いしっぺ返しが来ることもあるのだ。キジムナーと一緒に魚をとって金持ちになった猟師が、キジムナーと縁を切るためにガジュマルの木を切ったら、その猟師はどんどん貧乏になったという民話があるのだ。なんといっても相手は妖怪。人間に都合よく動いてはくれないのだ。以上、キジムナーのじゅぎょーだったのだ。」
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