ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「いい感じに湾曲した木の棒があった」

摩耶「いい感じに湾曲した?」

悠「木の棒」

神姫「子供か」

悠「子供心は忘れちゃノンノン」

千世子「はい、前回の続きからで濡れ女と牛鬼は、必ず一緒に行動するわけではないのだ。濡れ女が単独で現れて人を襲う物語も数多く伝わっているのだ。」

神姫「子供心じゃなくて悪ガキでしょ」

摩耶「クソガキ」

悠「もしもーし?」

亘理『やんちゃ小僧?』

サタン「小僧なんて可愛らしいもんじゃないと思うのだ」

千世子「単体で現れる濡れ女は、牛鬼と一緒の時のような人間女性の姿ではなく「髪を伸ばした若い女性の頭が、蛇の胴体から生えている」という気味の悪い姿をしているのだ。もちろん胴体が蛇だから、濡れ女に手足がないのだ。しかし、江戸時代に書かれた妖怪絵巻「図画百鬼夜行」には腕のある濡れ女が描かれているのだ。また、濡れ女の胴体はなんと300メートル以上もあり、襲われたら最後、どんなに逃げても長い尻尾で巻きつかれ、引き戻されてしまうというのだ。」

悠「おれは可愛いだろ」

神姫「サナダムシの次ぐらいにはね。」

悠「それ、上位ベスト10ぐらいにはいってる?」

摩耶「虫好きかつ寄生虫好きっていうマニアック・オブ・マニアックのひとを見つけるのが難易度高そう」

悠「案外コアなマニアって多いからわからんべ」

千世子「東北地方南部、福島県と新潟県の境にある川に出没したという濡れ女は、柳の枝を伐採しに来た若者たちを襲ったのだ。その襲い方は、子供を抱かせて動けなくするという回りくどいものではなく「蛇のように人間に絡みついてから生き血を吸う」という、非常に直接的で残忍なものなのだ。」

亘理『寄生虫とかアニサキスみてから超怖い』

悠「妖怪が何言ってんだか」

サタン「魔界には寄生したら脳を食いつくして大繁殖する魔蟲がいるのだ」

悠「モンスタースプラッタ映画かな?」

摩耶「スパイダーヘッドを蹴り飛ばせ」

千世子「濡れ女とよく似た妖怪はとても多いのだ。西日本の各地に伝わる産女が代表霊だが、そのほかにも、長崎県や熊本県など九州地方西部の水辺には磯女という妖怪が出没するというのだ。この妖怪は水辺にいる人間に髪の毛を巻き付け、毛を伝って血を吸うというのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」