ｰ教室ｰ

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

千世子「じっとりしてるのだ」

悠「ムシムシムシムシムシムシムシ」

千世子「うっとおしぃーのだ!」

神姫「……」

悠「カリスマガード!」
バッ!グッ!

【金長狸＆六右衛門狸】

千世子「あんちんはほっといてじゅぎょーしますなのだ。四国地方は、狸妖怪の本場といえるほどに狸にまつわる伝説が多いのだ。その数は600を越えるともいうのだ。そんな狸の町徳島では、江戸時代末期、狸たちが2つの陣営に分かれ、人間顔負けの大戦争を繰り広げた伝説があるのだ。この戦いは、当時の徳島が「阿波国」と呼ばれたことから「阿波狸合戦」と呼ばれるのだ。金長狸と六右衛門狸は。阿波狸合戦で戦ったそれぞれの陣営の首領なのだ。」

悠「……」

亘理『頭抱えてしゃがんでるのがカリスマ?』

摩耶「堅くて長くてトゲのついた棒で滅多打ちにしてくださいってことだよねこれ。」

神姫「首根っこにザクッとね」

悠「ガチ殺しじゃねーか」

千世子「「阿波狸大戦」の主人公は、若い化け狸「金長狸」なのだ。金長狸は義理堅くまじめな性格で、戦いの腕も妖術の腕も一流だったのだ。」

神姫「頭隠して首隠さず。」

悠「尻は守ったんだけどな」

摩耶「尻にトゲのついた棒でしばかれるのも相当きついよ?」

悠「いや、トゲがついてる時点でどこでもアウト」

ベヒモス「硬質化して弾けばいいモス」

千世子「一方の六右衛門狸は四国の狸たちをたばねる大親分で、強いのはもちろんのこと、悪知恵も働く狸だったのだ。人間に対しては敵対的な態度を取り、人間を化かして物を奪うなどの悪事も働いたというのだ。」

悠「そうだね、プロテクトだね。」

摩耶「股間を固くするのが得意だもんね悠くん」

悠「そんな褒められても困るわ」

神姫「踏み潰して去勢してあげましょうか?」

悠「イエ、マダマダツカイマスノデ」

千世子「「阿波狸合戦」の物語は、主人公の金長狸が染物屋の主人に命を救われるところから始まるのだ。金長は恩返しとして染物屋を繁盛させたのだ。この好意に染物屋もこたえて、祠を建てて金長狸を祀ることにしたのだ。」

摩耶「使う?」

悠「使う使う。超使う!」

亘理『下品!』
ガブッ!
悠「カリスマガード!」

摩耶「首噛まれてる」

千世子「何年か後のこと、金長は染物屋の一帯をおさめるために、六右衛門狸のもとに修行に向かったのだ。狸たちの世界には、人間の貴族社会と同じような「官位」があり、その官位を授けることができるのは、六右衛門狸しかいなかったのだ。」

悠「ふっ、超痛いぜ☆」

サタン「そらそーなのだ」

摩耶「もうちょっと歯を食いこませてみようか」

悠「摩耶おれをどうしたいのかなーん?」

摩耶「えへっ☆」

悠「無垢すぎて怖い」

千世子「金長は六右衛門狸のもとで修行をかさねどんどん実力を伸ばしていくのだ。六右衛門は金長の才能に気付き、金長を自分の後継者にするため、自分の娘と金長を結婚させようとしたのだ。このとき六右衛門の娘も金長に思いを寄せており縁談はすぐにまとまるかに思えたのだ。ところが金長狸はこの縁談を断ってしまうのだ。金長は自分が受けた恩を染物屋に返すまでは、結婚など考える気もなかったらしいのだ。今回はここまでで続きは次回なのだ。」