ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「夏はあずきバー」

神姫「そこはスイカバーじゃないの?」

悠「あれ、嫌いじゃないんだけど種がチョコじゃん?」

亘理『チョコだから食べられるんじゃ……』

悠「いやいや、いやいやいやー」

【小豆洗い】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。川や渓谷などの川辺では、川のせせらぎ以外の音が聞こえることがあるのだ。昔の人はその音を「妖怪が小豆をといでいる」と考えて恐れたのだ。その音の主である小豆洗いは、その名の通り井戸や川など水辺で小豆を洗う妖怪なのだ。伝承では小豆洗いの姿を見ることはできないといわれているが、江戸時代に書かれ奇談集「絵本百物語」では、川辺で小豆をとぐ老人の姿で描かれたのだ。現在でよく知られている小豆洗いの姿は、この挿絵が元になっているのだ。」

摩耶「西瓜の種は飲み込むくせにね」

悠「毒はないしな」

神姫「チョコにも毒はないわよ」

悠「ひとによっては依存性がうんたらかんたら」

亘理『うんたらかんたら?』

千世子「小豆洗いの伝承は日本全国にあるのだ。ほとんどの地域で小豆洗いは、小豆を洗うだけで害のない妖怪だが、中国地方では事情が違うようなのだ。中国地方北部の鳥取県では、小豆洗いの姿を見ようとすると水に落とされてしまうのだ。また、鳥取県のすぐ西にある島根県の出雲地方では、小豆洗いは森に住み人を襲うというのだ。」

悠「こまめじま」

摩耶「小豆島(しょうどしま)」

神姫「なんでいったの?」

悠「いや、なんとなく」

神姫「はぁ」

千世子「地方によって呼び名も微妙に違うのだ。一例をあげると「小豆とぎ」(鳥取県など)「小豆さらさら」(岡山県)「小豆ばばぁ」(埼玉、神奈川県など)「小豆ごしゃごしゃ」(長野県)といった具合なのだ。ただし大半は小豆を「とぐ」という行為をそれぞれの方言であらわしたもので、名前の意味や行為の内容には違いが少ないのだ。」

悠「ため息つかれちゃった」

サタン「ブレス?」

悠「冷たい息系統かな」

摩耶「悠くんには大ダメージだね」

悠「夏場ならあるいは……」


千世子「明治時代の民俗学者「柳田國男」は、小豆洗いの正体を「動物が土砂を掘る音」だと推測したのだ。この音を妖怪の仕業だと勘違いして小豆洗いが生まれたわけなのだ。」

亘理『ブレス攻撃をエアコン扱い』

摩耶「臭い息が一番効果的だよ」

悠「モルボルさんはご遠慮ください」

神姫「混乱と毒によるスリップ自爆自殺」

悠「リボンつけてても混乱で壊滅あるある」

千世子「小豆洗いは何故小豆をといでいるのか?妖怪伝承には明確な理由は書かれていないが、一説によれば、古代の日本に置いて小豆が神聖な食べ物だったことが関係しているのだといのだ。」

摩耶「石化の息とかも嫌だよね」

悠「ダメージ系より追加効果とかがキツイ」

亘理『目つぶしとか』

神姫「それ、ブレス?」

悠「墨とか液体ブレスかな?」

千世子「小豆は、日本では古くから神聖な食べ物とされ、神を迎えるような大事な行事で食べられていたのだ。しかし時が過ぎ、人々の信仰が薄れていくと、こうした行事の日には神ではなく「何か恐ろしもの」がやってくると考えるようになったのだ。すると小豆も「恐ろしいものがやってくる日に食べるもの」となり、神聖さを無くして「いわくつきの食べ物」に変わったのだ。水辺で不気味な音が聞こえた時に、人々は「不気味な小豆」を連想し、妖怪「小豆洗い」が誕生したというわけなのだ。以上、小豆洗いのじゅぎょーだったのだ。」
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