ー奇談ー學校へ行こう(2)3

ー教室ー

毎夜行われる、浮き世離れした夜の授業。
今日も取り壊されないまま、時代から取り残された廃校で授業が始まろうとしていた。

悠「もうそこら中で夏グッズ売られてるな。流しそうめん機とか」

千世子「なぜそれだけをピンポイントしたのだ」

摩耶「麺好きだから」

亘理『ブタメンならあるけど』

悠「いや、これも好きだけどなボリボリ」

【ぬらりひょん】

千世子「はい、じゅぎょーしますなのだ。ぬらりひょんとは、岡山の海に浮かんでいる不思議な妖怪なのだ。外見は、人間の頭と同じくらいの大きい丸い玉なのだ。」

悠「ガンツかな?」

摩耶「中にはおっさんいるけどね」

神姫「ぬらりひょん……ぬらりひょん?」

悠「あれ、なんかおれを見てる?」

摩耶「妖怪ではあるけどね」

悠「ちげーです」

千世子「漁師が船を寄せてこれを取ろうとすると、手からヌラリと外れて底に沈み、ピョンっと浮かんでくるのだ。これを何度も繰り返して人間をからかうのだ。一説によればこの妖怪は、海坊主という海に住む妖怪の仲間だというのだ。」

悠「ファルコンか」

サタン「ファルコン?」

摩耶「それ、シティーハンターの海坊主」

神姫「分かりにくい」

悠「てへぺろ」

神姫「……」
パァン!

千世子「この妖怪は、猛毒を持つことで有名な大型のクラゲ「カツオノエボシ」や、大柄なタコのことを妖怪だと勘違いした結果生まれたものだといわれているのだ。」

悠「首が一回転するかと思った……」

摩耶「リンゴより赤い頬」

悠「めっちゃジンジンしてる」

亘理『……痛くないの?』

悠「いや、口の中が鉄フレーバー」

千世子「ここまでで違和感を感じるひとも多いことだろうなのだ。実はさっき説明した妖怪「ぬらりひょん」は、妖怪漫画家水木しげるの作品などに登場する、日本人の多くが知っている「ぬらりひょん」とは別の妖怪なのだ。後頭部が大きな妖怪は今でこそ一般的にぬらりひょんと呼ばれ、妖怪の総大将とされているが、本来の名前は「ぬうりひょん」だったのだ。」

摩耶「こっちが悠くんか」

悠「頭長くないし!」

摩耶「伸縮式?」

悠「おれの頭は掃除機のコードか」

亘理『最近はワイヤレスもあるよね。充電式の』

千世子「また一般的な「ぬらりひょん」の特徴についても不審な点が多いのだ。「妖怪の総大将」「勝手に人の家に上がり込んでお茶を飲む」という特徴が知られているが、これらの特徴は古い伝承にまったく存在しないのだ。」

サタン「オプションで付けくわえられるとかどうなのだ?」

悠「別に頭を伸ばしたくはない」

摩耶「首?」

悠「ろくろっ首(野郎)的な」

亘理『伸びるの?!』

悠「のびねーよ!」

千世子「ぬらりひょんを紹介した最初の書物は、江戸時代中期の画家、佐脇嵩之の妖怪絵巻「百怪図巻」なのだ。佐脇が描いたぬらりひょんは後頭部がふくらんだ禿げ頭というぬらりひょんの基本的な特徴はこのころから存在していたことがわかるのだ。ただし絵巻には妖怪の名前が「ぬうりひょん」として紹介されているのみで、この妖怪がどのような特徴を持つ妖怪なのかは一切言及されていないのだ。今回はここまでなのだ。」
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